世界の金融・資本主義の中心地である米ニューヨーク市の市長選で、政治経験なき34歳の移民、過激な左派の「民主社会主義」政策を掲げる人物が勝利したことの意味に、多くの日本人が気づいていないのではないだろうか。この不可解な現象には説明が必要だ。 ゾラン・マムダニ氏の当選は偶然ではない。彼が選ばれた背景には、ニューヨーク市のみならずアメリカ全体の政治的状況がある。
民主社会主義者として統治
1月1日、ウォール街から目と鼻の先でマムダニ市長が就任宣誓を行う光景は衝撃的だった。彼は臆することなく「私は民主社会主義者として選出され、民主社会主義者として統治する」と宣言した。
ウガンダ生まれのインド系アメリカ人。父はイスラム教徒でマルクス主義者の大学教授、母は映画監督。7歳の時に、父がコロンビア大学でアフリカ史と政治学の教授職を得たことから渡米。父は明らかに左派的な反植民地主義を強調して教鞭を振るっていた。
マムダニ氏はニューヨーク市の私立の小中高校で教育を受け、メイン州の小さなリベラルアーツ大学でアフリカ研究の学位を取得した。 これまでに堅実な職業に就いたことがない。大学卒業後、ラップ歌手になる試みはうまくいかなかった。その後、母親の映画制作で助手を務め、(バラク・オバマ元大統領と同様に)無給の「コミュニティ・オーガナイザー」として活動した後、2020年、社会主義政党「アメリカ民主社会主義者」(DSA)のメンバー、そして民主党候補としてニューヨーク州議会議員に選出された。
市長就任時の「私は民主社会主義者として選出され、民主社会主義者として統治する」という発言は20年のDSA党大会での演説を想起させるもので、彼はそこで「最終目標は生産手段の掌握である」と宣言していた。そして、就任式は社会主義の賛歌「パンとバラ」の演奏で締めくくられた。

