カウコン生配信フリーズ…STARTO社の謝罪 ネットでも責任をもって! 結城豊弘

「正論」3月号 連載「マスコミ異聞 そこまで言う!?」

新しい年を迎えたが、日本は政治もメディアも混沌としている。読売新聞の〝解散〟報道に始まり、永田町は選挙モードに突入。年末には日本維新の会に続き国民民主党も連立政権入りかと思われていたが、サプライズ解散で棚上げとなった。

中道改革連合が旗揚げしたが、公明党と立憲民主党が一緒になる意味を何度聞いても理解できない。長年、自民党と一緒に選挙を戦った地方の公明党議員らも大混乱し頭を抱える。

維新は、三度目の大阪都構想挑戦で民意を問うため、大阪府知事と大阪市長の出直しダブル選に踏み切った。「今する意味がわからない」と身内の維新議員からも批判が噴出。総選挙や地方選挙、高市政権の行方と民意。本コラムもネタには困らなそうだ。

結城豊弘氏

昨年十二月三十一日大みそかの夜。「つなぐ、つながる、大みそか」をテーマに生放送されたNHK紅白歌合戦を見た。司会はタレントの有吉弘行と鈴木奈穂子アナ、俳優の今田美桜、綾瀬はるか。有吉の持ち味であるシニカルな笑いやツッコミは封印され、今田と綾瀬も妙な間が気になった。四人の微妙なチームワークがつまらない。会場の豪華な審査員の感想や話はよく聞けず、斬新な舞台演出もない。カメラの前にはフロアディレクターの頭がよぎる。スイッチング(カメラ切り替え)やステージ上の場面転換も雑。マイクにノイズはのっている。音のバランスも悪い。テレビの性能が進歩したから、余計に技術的な粗(あら)がバンバン見えてしまう。

産経新聞ウェブサイト一月一日掲載の「永ちゃん、聖子…豪華だが課題と期待が交錯した25年の紅白『歌合戦』はどこへ行く」と題した産経新聞東京編集局文化部・石井健記者の記事は鋭い。「『放送100年 紅白スペシャルメドレー』と銘打ったオープニングは肩透かしだった」と手厳しく、「放送100年の説明を歌でなぞっていただけ」との指摘に共感した。それでも石井記者は「歌が聴かれない時代の紅白はどうあるべきか。NHKの挑戦に期待しつつ、今年の大みそかも楽しみにしている」とエールを送る。

民放・NHKのテレビ各局は大みそかの同じ時間帯、あるネット配信放送を気に掛けていた。Snow ManやNEWS、timelesz、SixTONES、なにわ男子など、STARTO社(旧ジャニーズ事務所から移行)の人気アイドルグループ十二組が出演するカウントダウンコンサート(東京ドーム)が、三年ぶりに開催されることになり、生配信にファンから歓喜の声が上がっていたのだ。

午後十時半からの生配信は有料にもかかわらず大人気。民放各局の大みそか特番や紅白の視聴率にも影響すると思われた。

私も気になり、テレビで紅白の放送を横目で見ながらパソコンをネットにつなぎ同時視聴。豪華なステージと人気アイドルグループ達の共演は魅力あるステージだったが、動画がコマ落ちになり、解像度がどんどん下がる。そのうち画面はフリーズしてしまった。我が家のネット回線の問題かと急ぎ調べると通常速度。配信元にアクセスが集中しすぎ、ホストコンピュータ—やサーバー処理が追いついていかなかったのだろう。

配信料は三千九百〜四千四百円。不満の声がSNSに溢れていく。STARTO社は、この事態に謝罪をするとともに見逃し配信を後日行うこととなったが、ファンからは「リアルタイムで見られず残念」との声も寄せられた。

これからますますストリーミング配信や有料配信も増えていくに違いない。配信会場のライブエンコーダー(データ圧縮や転送機能)の高度化と処理能力の安定化を図らねばならない。放送局は放送停止や画面の乱れなど重大事故があった場合は、電気通信事業法に基づき速やかに事故を総務省に報告しなければならない。地上波の「いつでもテレビをつければちゃんと見られる」というのは実は大変なことなのだ。ネット配信も、視聴者がいる限り単に金儲けではなく、責任を持って行うべきだと思う。

=テレビプロデューサー

月刊「正論」3月号から)

ゆうき・とよひろ

昭和37年生まれ。読売テレビの人気番組「そこまで言って委員会NP」「情報ライブ ミヤネ屋」の演出担当を経て、現在フリーで番組制作を行う。

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