高市早苗政権が発足して2カ月が過ぎた。「保守」とみなされる高市政権の支持率は、昨年12月下旬の各種世論調査でおおむね7割程度と高水準を維持しており、国内の保守派の多くもこれを歓迎している。ただ、正論2月号では、京都大名誉教授の佐伯啓思氏が、今日の「保守主義を公言する政治家が圧倒的な支持率でもって首相になる時代」を、「これほど『保守主義』にとって危険な時代はない」と警鐘を鳴らしている。
佐伯氏が危惧するのは、保守主義とは何か、その観念の〝漂流〟だ。もともと近代の革新思想への対抗で生まれた保守主義は、「あくまで近代社会における批判的思想であり、いわば反体制的な思想」であるはずだが、現代日本では全く異なる文脈で使われている。高市政権が注力する経済活性化や安全保障環境の悪化に伴う防衛政策の強化などは、そもそも「『保守』であろうと『リベラル』であろうと当然の政策課題」なのであり、「保守政権」固有の課題ではない―。
こう指摘する佐伯氏は、現代日本にとって、保守主義とは何かを考察する。保守主義を論じる際に、しばしば18世紀の英国で活躍した政治思想家、エドマンド・バークが引き合いに出されるが、バークのフランス革命批判はあくまで当時の英国流の「自由や平等」の考え方、「貴族性と宗教的心情」に基づくものであって、普遍性を持つ保守主義とはいえない、というのが佐伯氏の考えだ。だとすれば、日本流の保守主義とは何なのか。
