宮内庁は9日、昭和天皇の后(きさき)、香淳皇后の97年にわたる生涯を記した「香淳皇后実録」を公開した。婚前に御学問所で学んだお妃教育の詳細や、結婚後の進講の一部が新事実として判明し、威厳と慈愛を兼ね備えた「国母」として成長していく姿が明らかに。明治に生まれ、大正、昭和、平成を歩んだ生涯には、それぞれの時代が求めた女性像が投影され、令和の皇室へとつながる道標となった。
仏語を週8コマ
大正天皇が香淳皇后を昭和天皇の妃にするとの沙汰が伝えられたのは、大正7年。御学問所が設けられ、結婚前年の12年までのお妃教育がスタートする。実録によって、学習科目や時間割の一部が初めて明らかになった。
修身、国語、歴史、地理、フランス語、体操、点茶、絵画―。化学や物理、数学といった理系科目も学び、フランス語は多いときで週8コマも組み込まれていた。
当時は「大正デモクラシー」と呼ばれ、女性の社会進出が加速した時代。名古屋大の河西秀哉准教授(近現代史)は、「社会が多様化していく時代の流れの中で、将来の皇后が国際社会と渡りあっていくための素養を身につける教育だったのではないか」と話す。

