<主張>中国SNSの動画 昭和天皇侮辱に抗議する

社説

記者会見する中国外務省の郭嘉昆副報道局長=26日、北京(共同)

中国のSNSで、こともあろうに昭和天皇を侮辱するショート動画が氾濫している。

中国では人を侮辱する際に犬にたとえることが多い。今回の侮辱動画でも昭和天皇を犬のように扱うものが目立つ。文字にするのもはばかられるほど俗悪な内容だ。

極めて不適切で強い憤りを禁じ得ない。中国政府は一刻も早くこれら常軌を逸した動画の横行をとめるべきだ。

今上(きんじょう)陛下の祖父で、激動の時代に在位された昭和天皇を多くの日本人が敬愛している。天皇は日本の元首であり、日本国および日本国民統合の象徴という極めて重い地位にある。昭和天皇を侮辱する動画は断じて許すことはできない。天皇と日本国民は一体であり、これらの動画は日本そのものを侮蔑するのと同じだ。

問題の動画は人工知能(AI)で生成されたとみられ、動画投稿アプリで次々と確認されている。

林芳正官房長官は会見で「本件動画は不適切」とし、中国側に「適当な措置をとるよう求めた」と明らかにした。だが、これでは日本国と国民の憤りは伝わらない。なぜ石破茂首相と岩屋毅外相は中国政府に直接、強い抗議を伝えないのか。

中国外務省の郭嘉昆報道官は会見で「関連状況を調査中だ」と述べるにとどめた。誠実さが感じられない。

中国のSNSは政府の規制下にある。削除も投稿阻止も思いのままだ。にもかかわらず動画が横行している。習近平政権が容認しているとみられても仕方あるまい。

動画が戦争責任追及のつもりなら見当違いも甚だしい。明治憲法下でも昭和天皇は立憲君主であり、責任を問うのは筋違いだ。戦前、戦中、戦後を通じ、日中両国の平和と友好を強く望んでいた方だ。異常な動画の横行は、中国の政府と国民の品性をも疑わせる。

中国では最近、複数の反日映画が作られている。南京事件を描いた映画では、捏造(ねつぞう)との指摘もある「虐殺写真」が多数登場した。観(み)た人の「日本人を恨む」などのコメントがSNS上にあふれている。在中国日本大使館が在留邦人に注意喚起しているが、邦人襲撃の再燃を懸念せざるを得ない。習政権は反日を煽(あお)る愚行をやめるべきだ。

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