令和6年2月、東京新聞は「無駄遣い批判が根強い大阪・関西万博で、さらに1カ所あたり2億円のトイレが複数設置されることが判明した。能登半島地震では下水道被害によりトイレが使えない地域も続く中での話だけに、疑問の声が噴出」と報じました。以来「2億円トイレ」という言葉は、関西万博の無駄遣いを非難する言葉として今日まで独り歩きしてきました。
しかしながら、日本ファクトチェックセンターによると実際の請負費用は約1億8千万円、平米単価は撤去費用を含めても約74万円と一般的な公衆トイレとほぼ同額、閉会後は公園や広場に移設も可能とのことです。この条件で万博にふさわしい非日常的なデザイナーズトイレを創造したのですから「無駄遣い」とするのはむしろ誹謗(ひぼう)中傷です。
そもそもこのトイレは、46基ある大規模設備であり、適正価格であることを曖昧にしながら「2億円」という大きな数字を躍らせて人々のねたみを不当にかき立ててきたことは、報道倫理に反する行為であると考えます。また、能登半島地震と唐突に関連づけて人々の怒りを理不尽に誘発したことも不公正です。このとき既に政府は被災地での生活に向けた最初の予備費として1553億円の支出を閣議決定していました。
