《大型トラックで車中泊してみた》《私の乗ってるトラックはこんな感じ》
埼玉県のトラックドライバー、かなさん(26)は、自身の運行の様子や休憩時間の過ごし方などを動画に収め、YouTubeで発信している。親しみやすい動画は同業者はもちろん、一般視聴者からも人気を集める。「運送業のどこかマイナスなイメージを変えたい」。発信に込める思いを話す。
この仕事に興味を持ったのは高校生のころ。引っ越しや物流倉庫のアルバイトでドライバーと話す機会があり、「楽しいぞ。乗っていくか」と生き生きとした様子が印象に残った。
荷台の長さ約10メートルの大型トラックを小柄な体で操り、長距離運行をこなす。力仕事もあるが、託された荷物を責任を持って届ける仕事にやりがいを感じている。高い運転席から見るさまざまな地域の景色を楽しめることも、魅力の一つだ。
「送料」タダではない
動画の発信は、5年ほど前から始めた。サービスエリアのグルメや運行スケジュールの紹介、社泊・休憩のルーティン…内容は多岐にわたる。「『こんな私も楽しく働いている』と発信することで、若い人や女性にどんどん入ってきてほしい」。チャンネル登録者数は23万人を超え、「憧れてドライバーになりました」とメッセージが届くこともある。
一方で、業界の現状を実感せざるを得ない出来事もあった。昨年5月、体調不良を訴えていたトラックドライバーが首都高速道路で引き起こした、6人が死傷する事故。ニュースを見たのは、自身も発熱して運行を休んでいたときだった。自分も、代わりがいなかったら-。そう、考えさせられた。
「入った人が『思ったよりよかった』と思える働きやすい環境であってほしい。(手元に届く荷物が)『送料無料』でも、ドライバーが働くことはタダではないと知ってもらいたいです」
人材確保、待遇改善が急務
長時間労働や低賃金といったドライバーの待遇改善、人材確保は業界の長年の課題だ。
全日本トラック協会のまとめによると、令和5年のトラックドライバーの年間所得額は全産業平均に比べて約4~14%低い一方、労働時間は月30時間以上長かった。業界は男性中高年層への依存が強く、就業者の年齢別では50歳以上が半数を占めるほか、ドライバーのうち女性が占める割合は3・4%に過ぎない。かなさんのような女性ドライバーが、担い手不足解消の切り札になる可能性がある。
昨年4月には働き方改革として、時間外労働の上限を年960時間とする規制がスタート。労働時間の短縮により物流が滞る「2024年問題」として懸念されたが、物流各社は輸送をバトンタッチで行う中継輸送や、荷待ち時間短縮のための予約システムを導入するなど対策を講じ、「『荷物が運べない』との声は表面化していない」(協会担当者)という。
一方、協会が昨年11月~今年1月に行った調査では、「ドライバーが不足している」と答えた運送事業者は6割。時間外労働の規制を「全ドライバーが順守できる見通し」と答えた事業者は6割で、協会担当者は「誰かが無理をして運んでいる状況がある」と話す。首都高の事故は、こうした課題が顕在化する中で起こった。
ある運送会社の担当者は「運賃値上げが思うほど進まず、給料が上がらなければ人手を確保できない。荷主の理解をいただけないと、この先が厳しい」と話す。「ライフラインである物流を止めることはできない。維持していくことが業界の使命です」
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この企画は、橋本愛が担当しました。





