世界はおろか、米国経済にも混乱と停滞をもたらしかねないトランプ米大統領の関税攻勢を強く懸念する。
米政権が鉄鋼・アルミニウム製品への25%の追加関税措置を発動した。石破茂政権が求めていた日本の除外は受け入れられず、第2次トランプ政権で初めて日本が関税強化の対象に加わった。
経済的に深く支え合う同盟・同志国まで関税で威圧する米国の独善に失望を禁じ得ない。欧州連合(EU)やカナダは報復関税で対抗すると発表した。
トランプ氏は今後も自動車などへの追加関税を発動する意向だ。日本は米国の関税攻勢に揺らぐことなく、不当な措置を認めぬ毅然(きぜん)とした姿勢を貫くべきである。官民ともに万全の備えで対処しなければならない。
鉄鋼などへの追加関税は、トランプ氏の1期目に発動されたが、日本などには適用を免れる例外措置が認められていた。米国は今回、こうした措置をやめて追加関税を全面適用した。
トランプ氏は高関税で国内産業を保護し、雇用を守る正当性を訴える。だが、一方的な関税引き上げは自由貿易を基盤とする世界の通商秩序を崩す。
日本企業による鉄鋼・アルミの対米輸出規模は特段大きいわけではない。このため追加関税に伴う直接的な影響は限定的とみられるが、米国を起点に各国・地域で報復関税の掛け合いとなれば、日本を含む世界経済が下押しされよう。
米経済への影響も大きい。素材の輸入価格が追加関税で上昇すれば、米国内の自動車産業など多くの製造業のコストが増える。それが最終製品に転嫁されればトランプ氏が嫌うインフレを助長する。米国はその矛盾を深刻に受け止めるべきだ。
レビット米大統領報道官が高関税で守られた日本のコメを問題視したように、ここにきて米政府の対日批判は強まりつつある。自動車の安全基準といった非関税障壁などもやり玉に挙がる。だが、その中には事実に基づかない指摘や誤認も多い。トランプ氏が問題視した「日本の円安誘導」などが典型例だ。
日本政府はこれらに一つ一つ厳しい反論を加え、対日関税に理がないことを納得させる必要がある。それでも理不尽な措置が続いたとき、日本は有効な対抗措置を取れるのか。この点も併せて検討しておきたい。




