新聞広告賞受賞の「フェムケアプロジェクト」 紙の特性生かし、読者に新たな視点

3月8日の「国際女性デー」に発行された産経新聞に施されたラッピング広告

産経新聞が3月8日の国際女性デーにちなんで展開したキャンペーン企画「フェムケアプロジェクト×国際女性デー企画『知るって、やさしい一歩!』」が、日本新聞協会の今年度の新聞広告賞(新聞社企画・マーケティング部門)に選ばれた。メディア環境の多様化により、新聞広告を取り巻く状況は厳しくなっており、専門家は「実際に手で触れる紙の特性を生かすとともに、読者に新たな視点を提供することが大事」と指摘する。

同賞は、新聞広告の新しい可能性を開拓した広告活動を顕彰している。フェムケアプロジェクトは、女性特有の悩みへの相互理解を促すため、新聞社の総合力を生かし、連載記事を含めて取り組まれたキャンペーン企画だ。国際女性デー当日には、シンボルであるミモザの花を紙面にあしらったフルラッピング広告を掲載。折りたたむと、お互いに背を向けていた男女が向き合い、「ぜんぶは、わからなくていいかもね。あなたと私はちがうから」というメッセージが表れる仕掛けが施されていた。

新聞広告を取り巻く状況は年々、厳しくなっている。今年2月に広告大手の電通が発表した「2023年 日本の広告費」によると、コロナ禍から回復しつつある社会・経済活動の活発化を受けて、昨年の国内総広告費は過去最高の7兆3167億円を記録。その中でも新聞広告費は減少しており、前年比5%減の3512億円だった。

広告市場全体の成長を押し上げているのはインターネット広告費で、前年比7・8%増の3兆3330億円。ネットが普及し、メディアの種類が増えたことで、新聞などの伝統的なメディアの影響力が相対的に低下していることがうかがえる。

一方で、「取材に基づいた質の高い記事を掲載する新聞は、全メディアで情報の信頼性が最も高い」と話すのは、一橋大の松井剛教授(経営管理研究科)だ。今後の新聞広告のあり方として、「公共性を踏まえて、新たな視点を提供する」ことを期待するとともに、「実際に触れる〝紙〟という、他のメディアにはない特性を生かすべきだ」と訴える。

今回のキャンペーンについては、「読者に価値観のアップデートを考えさせる意味は大きい」として、「公共性を持つ古いメディアが参画する重みと、紙という実体があるメディアの物質的な部分をうまく使っている」と評価した。(三宅令)

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