モスクワ郊外で22日夜に起きた武装グループによる無差別銃撃は、ロシアにとって約7年ぶりの大規模テロ事件となった。社会の安定を掲げて先の大統領選で勝利したプーチン大統領の威信に傷がつくのは確実だ。プーチン氏はウクライナ侵略に加え、テロ対策という「二正面作戦」に迫られることになる。
鳴り響く銃声と悲鳴…。交流サイト(SNS)に投稿された動画には緊迫したコンサート施設の様子が映し出されていた。犯行グループは開演前の会場で銃を乱射し、その後、火を放ったとされる。壁際まで追い詰められた市民に容赦なく発砲する様子も捉えられていた。
ロシアでは過去にも、イスラム教徒が多い南部チェチェン共和国の独立闘争を背景に、人質約130人が死亡したモスクワ劇場占拠事件(2002年)▽児童を含む300人以上が死亡した北オセチア共和国ベスランでの学校占拠事件(04年)▽30人以上が死亡したモスクワ近郊の空港での自爆テロ事件(11年)-など数々のテロが起きてきた。ただ、プーチン氏が進めた独立派の壊滅作戦やテロ対策の強化などにより、14人が死亡したサンクトペテルブルクでの地下鉄自爆テロ事件(17年)以降、大規模テロは鳴りを潜めていた。
今回の事件はイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)が犯行声明を出した。露当局は犯行グループメンバーの拘束を発表したが、背後関係などはなお不明だ。今後、さらにテロが続く恐れは消えない。
事件を未然に防げなかったことで、プーチン氏も大統領選での勝利に水を差された形となった。プーチン氏は終わりの見えないウクライナ侵略への対応に加え、テロ対策の強化にも乗り出す必要性に直面した。
今回の事件では欧米側を含む多数の国がロシアに哀悼の意を伝えた。ロシアがテロ対策での協調を掲げ、ウクライナ侵略で進んだ国際的孤立の打開に動く可能性もある。





