東日本大震災から11日で13年。千葉市出身の金尾陽菜(ひな)さんは、甚大な被害を受けた福島県いわき市にあるレジャー施設「スパリゾートハワイアンズ」のダンスチーム「フラガール」で活躍している。当時の記憶や被災地への思いを聞いた。
大震災で、いわき市は468人が犠牲になり、9万棟以上の建物被害が出た。ハワイアンズも休館した。
フラガールは踊る場所を奪われた。だが、発災後、全国をキャラバン隊として慰問し、福島の復興のために元気な姿を発信した。
「自らも被災者でありながら、ひたむきに頑張る先輩たちの姿に感銘を受け、私もフラガールになりたいと思った」
高校時代は浦安市のフラダンス教室に通っていた。
「踊ると気持ちが高ぶる。自分を表現できることが楽しくて仕方がなかった」
令和4年春にハワイアンズに入社した。デビューに向けて寮生活を送りながら、練習に打ち込んだ。限られた時間でハワイの文化を学ぶ講座を受けたり、クラシックバレーも学んだ。
同年7月に初めてステージに立った。舞台袖から多くの観客が見えたとき、頭が真っ白になったが、先輩たちの励ましもあり、無事に乗り越えられた。それから連日、昼と夜のショーで笑顔と元気を届けている。
「これまで60年の歴史あるハワイアンズの舞台で歴代の先輩方が築き上げてきた思いを自分も引き継ぎ、次世代につなげたい」
千葉からいつも背中を押してくれる両親や妹への感謝の気持ちを忘れることはない。
1月6日にはフラガールの成人式があった。晴れ着姿で「何事にも向上心を持ち、さまざまな可能性に挑戦し、一人の大人として自己研鑽(けんさん)に努めたい」と抱負を語った。自分が生まれた年にリリースされた一青窈(ひととよう)さんの恋愛ソング「ハナミズキ」をハワイ語でカバーした曲「カアナアレ」を華麗に踊った。
元日には能登半島地震が起きた。故郷では、2月下旬から千葉東方沖での地震活動が続いている。
「いつまた3・11のような大地震が来て、当たり前の生活ができなくなるか分からない。ステージで踊れなくなる日が明日かもしれない。だからこそ私は一回一回のステージを大切にしている。大好きな踊りができることに感謝し、笑顔で舞台に立ち続けたい」
(村上智博)




