千葉県の治安を守り続けてきた県警の創立から8月で150年を迎える。節目の記念ロゴのデザインを手がけたのは、成田国際空港警備隊の和田利樹巡査部長(36)。「150」の数字を囲うパステルカラーの円環に警察の装備品をちりばめた親しみやすいロゴを考案した。「県民の皆さんには県警に興味を持つきっかけに、職員には歴史がある組織の重みや伝統を感じてもらいたい」と力を込める。
休憩時間で作成
県警は150年を迎えるちょうど1年前の昨年8月2日、記念ロゴのデザインを募集。期間は1カ月間で、125人から計214点の応募があった。デザインの独創性や作品に込められた思いなどを総合的に勘案し、最終候補に残った5案から宮沢忠孝本部長が和田さんのロゴを選んだ。
ロゴは休憩時間を使い、県警のパソコンに備わっているデザインソフトで2週間ほどかけて作成。街なかでは掲示物や会社のロゴマークに目をこらし、デザインの構想を練り上げた。
「見栄えの良い円環をどう組み立てていくか、配置はこだわった」と和田さん。警備艇やパトカーなどの装備品のほか、敬礼姿の警察官や警察犬などをバランスよく並べ、社会の多様性をイメージした9色で彩った。150の数字の下にあしらった右上がりの線は、これまでの経験を糧に職員が一丸となって未来に進む願いが込められている。
異色の経歴
和田さんは民間企業を経て県警に採用された転職組だ。千葉市出身。県内の高校を卒業後は、千葉商科大に進学したものの、ほとんどの学生が謳歌(おうか)する自由な雰囲気のキャンパスライフは自身になじまなかった。一方で感じていたのは、働くことの面白さ。高校からコンビニエンスストアでのアルバイトを続け、「自分の棚を持って商品の発注や管理する仕事を任せてもらい、充実感があった。働く方が自分には向いている」。
1年夏には大学を去り、レジャー施設などを運営する会社に就職した。高校時代には、文化祭で取り組んだクラスの映画製作で撮影や編集を任された経験もあり、職場では自ら手を挙げて店内のチラシやデジタルサイネージ(電子掲示板)を手掛け、制作の技術が自然と身に着いていった。
結婚し、順風満帆だった20代半ば、同じ会社で続けるか、違う道に進むか-。誰もが立つ岐路で、最初に頭に浮かんだのが、幼いころからあこがれていた警察官だった。「息子が生まれたことで、子供たちが安心して暮らせる千葉県を担う警察の一助になりたいという思いが強まった」という。
「ロゴが懸け橋に」
3回目の挑戦で努力が結実。12年続けた会社を退職し、30歳で県警の門をたたいた。警察学校では年齢が一回り違う同僚たちと寝食をともにした。「運動は得意ではないので、入校前にジムに通って体力づくりの日々だった。おかげで学校ではなんとかついていけた。青春でした」。苦手な〝キャンパスライフ〟を乗り切った。
八千代署刑事課で鑑識を担当するなどした後、現在は、日本の空の玄関、成田国際空港をテロの脅威から守る警備隊に従事している。上司の常世田述彦(とこよだ・のぶひこ)警部は和田さんについて「性格は実直で、同僚への心配りも忘れず、人の見えないところで努力するタイプ」と評価。ロゴの採用については「隠れた才能に驚いた。ロゴにも彼のやさしさがにじみでている」と目を細める。
「ロゴが県民と職員の架け橋のような存在になれば」と和田さん。今後、採用のパンフレットや犯罪被害抑止のためのチラシやポスター、さまざまな行事でも活用される予定だ。(松崎翼)




