生理の不調も子宮頸(けい)がんについても。知識をつければ自分の身を守れるはず-。こうした着想から、出版社の宝島社が学生を対象にした出前授業に取り組んでいる。つらい、けれど話しづらい。そんな女性特有の体の悩みにまつわるタブー視を次の世代に持ち越さないために、若い世代と向き合っている。
10月下旬。大妻女子大(東京都千代田区)で行われたキャリアデザインの授業。宝島社の雑誌「InRed(インレッド)」編集長の橋爪尚子さんと産婦人科医の竹元葉さんが教壇に立った。
まずは女子学生にとって身近な「生理」がテーマ。大きな画面に、生涯の女性ホルモンの推移を表す図などを映しながら、竹元さんが生理周期など女性の体のメカニズムを説明した。
橋爪さんは「働く女性の8割が仕事の能率や家事に生理が影響すると感じている」とのデータを引用し、職場の実態を紹介。「生理痛を我慢している人もいると思うが、働くようになれば仕事のパフォーマンスに直結するかもしれない。そういうときに婦人科の先生に相談できる環境があるといい」と呼びかけた。
読者の思いつなぐ
同社は令和3年、女性の健康問題について社会の認知を広げようと、発行する計13の女性誌・男性誌の連携プロジェクト「もっと話そう! Hello Femtech(ハローフェムテック)」を発足。出前授業を重ねてきた。誌上で生理や更年期について特集すると読者から「知りたかった」との声が届くという。
「働く女性向けの雑誌でなら『もっと早く知りたかった』、若い世代向けの雑誌だと『上の世代の経験談が知りたい』というように。身近な人とは話題にしにくいけれど、実際には話したい、聞いてみたいという女性たちのニーズがあることが、プロジェクトを通じて分かってきた」と橋爪さんは話す。
「子宮頸がん」注意向けて
竹元さんも、若い女性に伝えたいことを用意して講義に臨んだ。時間を割いたのは「子宮頸がん」にまつわる話題だ。
「若年層の女性が罹患し治療しないままでいると、子宮を失うことがあるなど、人生設計に大きな影響がある」と竹元さん。
講義では、自身が20代で子宮頸がんの一歩手前の病変である「異形成」になった経験を明かし、いかに身近な病気であるかを強調。
予防に有効だとされるHPV(ヒトパピローマウイルス)ワクチンの接種は現在、小学6年~高校1年相当の女子が勧奨対象だが、その年代を過ぎても公費で受けられる「キャッチアップ接種」の対象にはなることを丁寧に説明した。
「生理も子宮頸がんも、トラブルが起きる前に対処できる、そんな女性になってほしい」。2人の講師は口をそろえる。
講義後のアンケートには、「小さな悩みでも気軽に婦人科を訪れてよいことがわかり気持ちが楽になった」「自分の体はずっと付き合っていくものだから、今後も正しい知識を知る努力をしていきたい」などとつづられていたという。
(篠原那美)





