有効求人倍率の推移によって、「売り手市場」「買い手市場」という表現がされる就職活動。この言葉をきいて、「簡単に内定がとれる」とは思わないように注意してください。そもそも、有効求人倍率とは「求職者1人に対して何件の求人があるかを示す数値」です。つまり、求職者1人に対して、何件の選考を受ける機会があるかを示しているだけであって、その機会を生かせるかは求職者本人の努力次第となります。
選考を受ける機会が多い「売り手市場」の場合は、落ち続けても選考を受ける機会があるため、その年での就職のチャンスがあります。しかし、「買い手市場」の場合は、落ちてしまうと早い段階で選考を受ける機会がなくなってしまうことを意味します。
現在の大学生・大学院生を対象とした新卒求人倍率は、1.71倍となっています。コロナ禍以前の水準に戻ってきていることから「売り手市場」というワードが使用されることが増えていますが、選考の機会が多いことは事実ですが、必ずしも志望企業から簡単に内定が獲れることを意味するわけではありませんので注意しましょう。
〇エントリー数に対する内定率
現在の学生の動き方としては、学生一人当たり平均して24.8社の企業にエントリーをして選考を受けているようです。その内、一人当たりの内定保有数が2.6社というデータが出ています。そのため、学生一人当たり10社エントリーして1社内定がもらえるのが現在の就職活動となります。
〇大企業の求人倍率
企業規模別に見ると、従業員が5000人以上の大手企業では、2021年3月卒が0.60倍、2022年3月卒が0.41倍、2023年3月卒が0.37倍、2024年3月卒が0.41倍と、全体の求人倍率より大きく下回っています。
一方、従業員が300人未満の中小企業では、2021年3月卒が3.40倍、2022年3月卒が5.28倍、2023年3月卒が5.31倍、2024年3月卒が6.19倍になっており、昨年の求人倍率に比べて0.88ポイントの上昇です。
このデータから、求人倍率は中小企業を中心に上昇傾向であることがわかり、全体の有効求人倍率の上昇は中小企業の影響を大きく受けていることが分かります。以上を踏まえると、大企業は全体の平均から比べると非常に厳しい競争が待っていることが分かります。
そのため、学生の皆さんが大企業を中心に就職活動をしようとすると10社エントリーしても1社も内定が獲れていないということは当たり前のように起こりうるので大手病には十分に気をつけましょう。
また、「売り手市場だから内定がとれて当たり前」と考える学生がまれにいますが、内定が獲れていなくても10社受けたら9社落ちるのが現在の就職活動です。そのため、1、2社落ちたからといって、決して悲観する必要はありません。
それよりも、落ちたとしても選考を受けられる機会が多いのが売り手市場の特権です。就職活動における「1勝」の裏には、数多くの〝負け〟があります。企業に落とされるということは、失敗することに慣れていない学生からすると大変辛く悲しいことかもしれません。
しかし、そのような状況でも「あの時、諦めずに頑張って本当によかった」という前例が多くありますので、どのような結果になっても前を向いて就職活動に取り組むようにしてください。(「内定塾」講師 齋藤弘透)
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