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「家康」に濃いキャラ、ポケベルに郷愁…冬ドラマ記者座談会

フジテレビ系「女神の教室~リーガル青春白書~」から(C)フジテレビ
フジテレビ系「女神の教室~リーガル青春白書~」から(C)フジテレビ

1月にスタートしたテレビ各局の連続ドラマについて、メディア担当記者たちが語り合った。

残酷で新鮮「家康」

I 今期は大石静、北川悦吏子という大物脚本家の〝対決〟があったり、演出の堤幸彦、木村ひさし、あるいは脚本のバカリズムと超個性派が顔をそろえたり、草彅剛主演の「戦争」シリーズが再開したりと話題満載で、平均点は高い。半面、どれも平均的で、前期のフジテレビ系「silent」のように頭一つ抜けた番組は今のところない印象だ。

Y まず、NHK大河「どうする家康」。たぬきおやじに描かれがちな家康が、若い頃に周囲に振り回され決断を迫られて、なんとか生き延びるという視点が新鮮。大河としては軽くてコメディータッチだが、人質の殺害など戦国時代の残酷さも描いており、緩急ついた物語に引き込まれる。

I 初回こそインパクトが強かったが、うろたえる家康がややパターン化してきた印象を受ける。

U 信長役の岡田准一をはじめ脇役の個性が強すぎて、主役の松本潤がかすんでしまいそう。頑張って。

「ブラッシュ」出色

H 日本テレビ系「ブラッシュアップライフ」は、交通事故に遭った平凡な女性が自分の人生を何回もやり直すタイムリープものだが、毎回先が読めず、俳優も安藤サクラら芸達者ぞろい。ポケベルなど懐かしのアイテムもグッとくる。

日本テレビ系「ブラッシュアップライフ」から(C)日本テレビ
日本テレビ系「ブラッシュアップライフ」から(C)日本テレビ

I TBS系「Get Ready!」の堤、テレビ朝日系「警視庁アウトサイダー」の木村が持ち味をやや抑えながら滑り出したように見えるなか、「ブラッシュ-」の脚本のバカリズムは映画「架空OL日記」などで見せた独自性を拡張し、独特のユーモアを発揮して鮮烈だ。ただ個性的過ぎて見る人を選ぶかも。

Y NHK「大奥」は、よしながふみの人気漫画のドラマ化で、ジェンダーや格差など現代でも共感できるテーマを男女が逆転したSFという形で提示した作品。原作完結後では初の映像化で、冨永愛の吉宗役はイメージにぴったり。

I 恋愛ドラマの名手、大石脚本のテレ朝系「星降る夜に」と北川脚本のTBS系「夕暮れに、手をつなぐ」は、なぜかどちらも登場人物の個性が強烈。いっそ主人公が幽霊というTBS系「100万回言えばよかった」の方が恋愛ドラマとしては新鮮で、落ち着いて見られる。なぜ幽霊になったのかというサスペンス要素も加わる。

深夜枠に佳作ぞろい

U フジ系「女神(テミス)の教室~リーガル青春白書~」は模擬裁判を見せ場に、教師がロースクールの生徒の気づきを引き出す展開が視聴者にも発見があってよい。

I テレ朝系「リエゾン-こどものこころ診療所-」は原作モノだが、児童精神科のクリニックを舞台に非常に繊細な物語を紡ぐ。アップを多用した映像、子役たちの芝居なども印象的。テレ朝系「6秒間の軌跡~花火師・望月星太郎の憂鬱」やフジ系「三千円の使いかた」など、深夜枠に地味だが佳作がそろっている印象もある。

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