コーヒーでも入れようかな。お昼ご飯の後、息子はそう言ってよくコーヒーを飲んでいた。
こだわりの珈琲屋さんで買ったコーヒー豆をハンドミルで挽(ひ)く。くるくると手で回すとカリカリと心地よい音がして、いい匂いがした。挽いた豆をフィルターに移してカップにセットする。私もコーヒー好きなので時々一緒に飲んでいた。私はずぼらなので豆もお湯も目分量でいいかげんだが、息子はビーカーを使ってお湯の量をはかり、タイマーで時間もきっちり3分計る徹底ぶりだ。
専用のコーヒーポットでお湯を注ぐと、ふわっと豆が膨らみ、甘い香りが部屋いっぱいに広がった。「ばかうまい!」。一口飲むと息子は目を丸くしてうれしそうにそう言った。息子の誕生日プレゼントに買った、ちょっと高価なブルーマウンテン。「お母さんのも入れてあげるよ」。私の分まで入れてくれた。