葛西署生活安全課の少年第1係の上席係長として、少年の健全育成や、非行少年の更生をサポートする。「虐待の通報は増えているが、埋もれる家庭がある。警察官として、できる限りのことをしなければ」と話す。
高校卒業後の昭和59年に警察官になった。きっかけは尊敬していた祖父が警察官だったためだ。中学から始めた剣道を続けられることも魅力だった。
当時、女性警察官のほとんどは交通部門に配属された。初任地の中央署や目白署などでは交通違反の取り締まりや交通安全教育を担当。その後、性犯罪に対応する強行犯係や、留置管理課などで勤務した。
初めて生活安全部門に所属したのは平成26年。生活安全総務課に異動となり、児童虐待や行方不明事案の初動対応に当たった。次に赴任した蒲田署や現在の葛西署で少年係として、少年事件や虐待問題に取り組む。
忘れられない少年がいる。自転車の窃盗を繰り返す10代後半で、学校にも行かず、仕事もしていなかった。一緒に職を探そうと面談を重ね、ハローワークにも付き添った。少年の将来を思い、時に厳しい言葉もかけた。少年はその後、児童相談所に入所。ある日、蒲田署に少年が児相職員とともに訪ねてきた。就職先が決まったとの報告だった。「就職できました。これから頑張ります」。照れた表情で決意を述べる少年に、成長を感じ、うれしくなった。
悔やまれる事件もある。蒲田署で勤務していた当時、大田区で3歳の女児が母親に虐待され、亡くなる事件があった。直接捜査に関わってはいないが、少年係として日々、児童虐待に対応していた同じまちで、幼い子供のSOSに誰も気づくことができなかった。「周囲が虐待に気付いていれば違う結果だったはず。埋もれる事案を一つでも減らせるよう、地域の声を聞き、学校などとのつながりをもっと密にしたい」と誓った。
受章が決まり、「警視庁警察官として、都民のため、何ができるか考えてきた。これからも積極的に都民のために働きたい」と優しい笑顔を見せた。
(橘川玲奈)
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ちば・のりこ 千葉県船橋市出身。昭和59年入庁。中央署、小松川署、生活安全総務課、蒲田署などを経て令和3年10月から現職。家族は夫、長男で、2人も警視庁の警察官。趣味は夫との旅行や、5歳と1歳の孫と遊ぶこと。




