テレビ番組「ちい散歩」などでお茶の間に人気だった千葉県匝瑳(そうさ)市出身で同市観光大使を務めた俳優、地井武男さん(1942~2012年)の没後10年をしのぶ追悼献花が5日、同市で行われた。命日は6月29日だが、地井さんは生前、8月4、5日に開催される同市の夏の伝統行事、八重垣神社祇園祭で毎年みこしを担ぐなど、「ふるさと匝瑳」を愛していた。献花は同祭に合わせて企画された。
「祭りといえば地井さん」
「地井さんが生きていたらという人は今でも多い。本当に匝瑳を愛してくれていましたから」と献花した匝瑳高軟式テニス部で2年後輩の鶴野航三さん(77)は話す。
地井さんは、八日市場町(現匝瑳市)生まれ。高校卒業後、石原裕次郎や赤木圭一郎に憧れて俳優座養成所に進んだ。
鶴野さんによると、地井さんは家を借りて年間40~50日を匝瑳ですごした。八重垣神社祇園祭に毎年参加し、「ちい散歩」でも紹介した。テニスサークル「ちい散歩苦楽部」のメンバーでもあり、匝瑳の人たちと交流した。献花にはサークルの仲間らも訪れた。
「〝毎年8月4、5日の予定は空欄にしておけ〟と事務所に言って祭りに参加し、盛り上げてくれた。この辺で祭りといえば地井さんなんです」。前市長の太田安規さん(78)はそう話して献花に向かった。
ボランティアのような仕事が好き
北部には里山、南部は九十九里浜に面した匝瑳。「野鳥や植物が好きで、自然を大切にしていた」と鶴野さん。市内の天神山公園には地井さんが植栽した「ちいちいの森」がある。
死後、入院中に書いていたノートの存在が明らかになった。≪きれいな森の中を歩くこと 途中大きな木にさわってお礼を言い 太陽をみて生命の尊さを知り 空気をたくさん吸える喜びを青空に感謝し 波の音に世界の宇宙の自然の大きさを感じ その中の一点に俺、自分が居ることを感動出来るような毎日でありたい≫。「匝瑳のことをそのまま書いたものだと思う」と鶴野さんは推察する。
「太陽にほえろ!」「北の国から」などのドラマに出演した著名な俳優は、市商工会長だった鶴野さんが頼んだまちの小さな催しによく参加してくれた。「〝お金になる仕事はあんまりしないけど、匝瑳でのボランティアのような仕事が好きなんです。鶴野さんからもお金になる仕事をもっとやるよう言ってください〟。地井さんのマネジャーがそう言っていた」
記念碑に「よがっぺー」
献花が行われた観光物産センター「匝(めぐ)りの里」には、死後に建てられた記念碑がある。匝瑳への思いが伝わってくる地井さん直筆の書が刻まれている。
≪都会で時間に追われ、少し人付き合いに疲れ自分を見失いそうになった時、『ふるさと』の風景は、大らかな母の心のように私を包み安心させてくれますね。そして新たな勇気が湧いてくるんですね。『ふるさと』よがっぺー≫





