台湾食品禁輸解除、輸出拡大に追い風 全面規制は中国だけに

台湾が21日、2011年の東京電力福島第1原発事故後に福島など5県を対象に課してきた日本産食品の輸入禁止措置を原則解禁するとした公告を発表した。台湾は日本にとって昨年の農林水産物・食品の輸出先の第4位を占める重要な貿易相手で、日本政府は今回の台湾の決定を農産物の輸出拡大の追い風にしたい考えだ。

福島第1原発事故から10年以上が経過する中、「全ての食品」(台湾は酒類は除く)というくくりで禁輸措置を続けていたのは中国と台湾だけ。台湾の輸入解禁で、いまだに全面禁輸を続ける中国の非科学的な姿勢を浮き彫りにする効果も期待できる。

原発事故後、最大で55カ国・地域が日本産食品に対する輸入規制を導入したが、今も規制を続けるのは14カ国・地域にとどまる。このうち9カ国・地域は検査証明書などの提出を条件に輸入を認めており、輸入停止措置を講じているのは台湾、中国、韓国、香港、マカオの5カ国・地域だけだ。対象品目を「全ての食品」とするなど特に厳しい姿勢をとってきたのが台湾と中国だった。

台湾は福島、茨城、栃木、群馬、千葉5県の酒類を除く全ての食品に一律の輸入停止措置を課してきた。今回、①野生の鳥獣肉②キノコ類③山菜のコシアブラ-を除き、5県の全ての食品の輸入を解禁する。

ただ、解禁する食品には放射性物質検査証明書と産地証明書の提出を義務付け、水際での全ロット検査も行う。農林水産省の担当者は「大きな一歩であるのは間違いないが、全ロット検査の実施など規制という意味ではまだ多い」とし、引き続き台湾への働きかけを続ける考えを示す。

それでも台湾が非科学的な全面禁輸から脱却する意味合いは大きい。いまだに全ての食品を輸入停止の対象とする国・地域は中国だけとなるからだ。中国は宮城、福島、東京、新潟など10都県の「全ての食品と飼料」(新潟県産コメを除く)を輸入停止にしている。

日本国内で過去に出荷制限措置がとられた品目の輸入停止をいまなお続ける韓国にも科学的な検査に基づく対応を迫る圧力となりそうだ。(日野稚子、那須慎一)

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