北京冬季五輪第14日の17日、フィギュアスケート女子でドーピング問題が発覚したロシア・オリンピック委員会(ROC)のカミラ・ワリエワ(15)が、ショートプログラム(SP)首位で迎えたフリーで5位と失速し、大本命だった個人種目で4位に沈んだ。調査は継続中のため、今大会の成績は「暫定」扱いとなる前代未聞の事態。疑惑の目が向けられた天才少女はまさかの乱調に泣き崩れた。
騒動前までは正確無比だったジャンプが大きく乱れた。4回転ジャンプやトリプルアクセル(3回転半ジャンプ)で転倒や着氷の乱れが相次ぐ。演技後は顔を手で覆い、得点が出ると感情をこらえ切れなかった。
3位以内に入れば表彰式を実施しないと14日に決まっていた。通常24人で争われるフリーにはワリエワを含むSPの上位25人が進出した。いずれも将来的に処分が下る可能性を見据えた対応だった。
15日のSPでも騒動の影響があったのか珍しくミスが出て、3位の坂本花織(21)=シスメックス=まで2・32点差と予想外の混戦になった。出場継続の容認は、16歳未満の「要保護者」に当たることなどを理由とした異例の裁定。今季、世界最高得点を連発したフィギュア界のニューヒロインは、リンク内外で物議を醸した初の五輪を悔し涙で終えた。(共同)