「中国熱」冷めた中東欧諸国 台湾に接近

台湾の蔡英文総統(田中靖人撮影)

【ロンドン=板東和正】中東欧諸国で中国と距離を置き、台湾に接近する動きが目立ってきた。巨大経済圏構想「一帯一路」を掲げる中国は欧州の玄関口にあたる中東欧地域を重視し、中東欧側でも同構想による投資に期待が大きかった。しかし、中東欧諸国の一部はここにきて中国の人権状況を問題視し、一帯一路の経済効果にも懐疑的な見方を強めている。

リトアニア、チェコ、スロバキアの3カ国は10月下旬、台湾の政府機関幹部や民間企業トップら約65人から成る視察団を受け入れる。台湾の外交部(外務省に相当)が視察団派遣を決定したのを受け、リトアニアのナウセーダ大統領は「(台湾の)民主主義の原則と価値観を守るために尽力する」と英メディアに語った。

リトアニア、チェコ、スロバキアは今年、台湾に新型コロナウイルスワクチンを無償提供して関係を深めた。視察団受け入れを貿易と投資の促進につなげるとともに、民主主義の価値観を共有し、中国の軍事的圧力にさらされる台湾との連帯を確認するとみられる。

中国離れと台湾接近の先頭を走るのは旧ソ連のリトアニアだ。民主化運動を通じて1990年にソ連からの独立を勝ち取った経緯から、中国の人権侵害にとりわけ厳しい目を向ける。

5月、リトアニア議会は中国による新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害を「ジェノサイド(民族大量虐殺)」と認定。リトアニア政府は7月、台湾の代表処(大使館に相当)を首都ビリニュスに開設すると発表した。

今月21日にはリトアニア国防省が、中国スマートフォン大手、小米科技(シャオミ)の製品には中国政府が警戒する用語の検出機能がついているとして不買を呼びかけた。

チェコでも対中認識に変化がみられる。ビストルチル上院議長は昨年、中国の反対を押し切って台湾を訪問し、立法院(国会)での演説で「(われわれには)民主主義を築く全ての人を支える義務がある」と述べた。スロバキアも中国の人権状況に加え、新型コロナをめぐる中国の初動対応を批判している。

中国と中東欧16カ国は2012年に経済協力の枠組み「16+1」を立ち上げ、後にギリシャも加わって「17+1」となった。しかし、欧州側の少なくとも5カ国の首脳が今年2月の「17+1」首脳会議を欠席し、リトアニアは5月にこの枠組みから離脱した。

「中国熱」が冷めつつある背景には、一帯一路を歓迎していた中東欧諸国にとって、中国の投資規模などが期待外れだったという事情もある。

ルーマニアでは、中国国有企業が出資して原子力発電所の増設を進める計画が頓挫した。英紙フィナンシャル・タイムズによると、ポーランドもリーマン・ショック(08年)後の景気回復につなげようと中国との関係を強化したが、得られた恩恵は「不十分」(ドゥダ大統領)との認識を強めている。

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