大阪には多くのムスリム(イスラム信徒)が働き、生活をしている。礼拝の度に大阪市西淀川区のモスク「大阪マスジド」に集う彼らに、仕事について聞いた。彼らは口をそろえて「中古車」という。世界から集う彼らの共通語は「車」だった。
パキスタン・カラチ出身で30年前に来日したアルシャド・ブッタさん(52)も中古車輸出業だ。中古車貿易をチームで行っている。ブッタさんは日本で車や部品を買い、コンテナでアラブ首長国連邦のドバイに送る。日曜日以外は毎日、中古車オークション会場を回り、ネットも使って1カ月で700台以上を競り落とすという。
ドバイは中古車の一大集積地だ。ここで日本から送られてきた車をチームの別のスタッフが中東やアフリカなどから集まった顧客に売りさばく。ブッタさんは「いろんな国から何百万台もドバイに集まる。お客さんもすごくたくさんいる」と説明する。
中古車が集積する大阪のオークション会場を案内してもらった。港に近い広いスペースにずらっと車が並ぶ。車種もライトバンやトラックから乗用車までバラエティーに富んでいた。
紙の束を見せ、「これリストね。年式や型式、排気量も書いてるでしょ」という。確かに書類には車種や年式、状態が書かれていた。その車が目の前で次々に落札されていく。1台に1分もかからない。「トヨタは何でも売れる。丈夫だからね。トラックは日野、いすゞ、日産が売れる」と、どこか誇らしげだ。
若いムスリムも「車」の商売を目指し、海を越えて日本に渡ってくる。バングラデシュ出身のファハド・アラム・シュヴォーさん(23)も、その一人だ。
母国では車もバイクも日本製が多い。生活に車が欠かせず、「自動車」を扱う仕事を選ぶのも、そのために日本に来るのも自然なことだった。
来日したのは昨年11月。今は大阪マスジド近くの2Kのアパートに、同国出身の友人と3人で住んでいる。大阪市内の日本語学校に通いながら、生活のためにアルバイトに精を出す。
日本語学校卒業後は、自動車の専門学校に入学するつもりだ。「その後は日本の自動車会社で働きたい。10年後には車の会社をバングラデシュでつくりたいです。いろんなブランドの車を扱う社長になりたいです」と夢を語った。
別のムスリム男性に取材すると、「あの人も社長、この人も社長、みんな社長」と言われ、驚いたことがある。ただ、考えてみると、夢を抱えて日本にやってくる彼らは成功を目指すのが当然だ。結果、「みんな社長」になるのだろう。
彼らに共通するのは目の輝き。その秘密は、どんな環境でも成功をめざすバイタリティーだと感じた。 (写真報道局 安元雄太)










