「チームを誇りに思う」 ソフトボール米国・アボット

【東京五輪2020 ソフトボール 決勝】〈アメリカ対日本〉上野由岐子とモニカ・アボット=27日、横浜スタジアム(納冨康撮影)
【東京五輪2020 ソフトボール 決勝】〈アメリカ対日本〉上野由岐子とモニカ・アボット=27日、横浜スタジアム(納冨康撮影)

2008年の北京大会以来、日本対米国の「宿命の対決」となった27日夜のソフトボール決勝。長年日本を牽引(けんいん)してきたエース、上野由岐子(39)と同様に、米国の左腕、モニカ・アボット(35)にとっても雪辱を期す一世一代の大舞台だった。北京で上野と投げ合った「レジェンド」はその後、日本で10年以上プレーし、若手にも多大な影響を与えている。13年越しのリベンジはならなかったが、試合後に口にしたのはチームへの誇りだった。(原川真太郎)

191センチの長身から繰り出す剛速球が武器のアボットは北京の後、日本リーグのトヨタ自動車でプレー。関係者は「彼女が来てくれたおかげで日本のソフトボールが盛り上がった」と語る。今大会、上野の後継者に名乗りを上げた日本代表の左腕・後藤希友(みう)(20)も同じトヨタに所属、大きな刺激を受けている。

11(平成23)年3月の東日本大震災が起きたときも日本にいた。「たくさんの子供、若者、大人が原発事故、地震、津波でトラウマを抱える経験をしたことを知っている」。今月22日に福島県で行われた1次リーグの際にはこう話し、「でも、こんな力、刺激を与えてくれるオリンピック競技を迎えることができた。すべての世代の人々を変えるような出来事」と、力を込めた。

横浜スタジアム(横浜市)で行われた決勝。アボットは1点をリードされた5回2死一塁の場面で3番手としてマウンドに。自慢の速球を打たれて追加点を許したが、その後は味方の好守にも助けられ、必死に抑えた。ベンチに戻ると若手とともに声を張り上げ、チームを鼓舞し続けた。

だが、上野から後藤、再び上野へとつないだ日本の投手リレーを打ち崩せず、試合終了。アボットはチームメートと抱き合い、その後は一人ベンチに座り、悔しさをかみ殺した。

「チームを誇りに思う。エキサイティングなショーを世界に見せられた」。28日未明に行われた記者会見でこう語ったアボット。その姿は、全力を尽くして戦い抜いた誇りに満ちていた。