こうした患者の自治体への届け出は入院時に判定された中等症だが、実際に現場では重症に分類される。「手の施しようがない重い症状で亡くなり、拾い上げられていない人が現場には相当数いる」というのが岡氏の実感だ。
こうした傾向は自治体の分析でも浮かび上がる。
大阪府内で第3波(昨年10月10日~1月5日時点)に死亡した計390人のうち、約76%にあたる297人が重症病床に入らずに軽症・中等症病床で亡くなったか、死後にコロナへの感染が確認されていた。第2波(6月14日~10月9日)でも死者142人のうち、7割以上が軽症・中等症病床で死亡していた。
こうした中には、高齢や持病を理由に、本人や家族が人工呼吸器の装着などを拒んで死亡するケースも複数報告されており、統計上は重症者に計上されないまま死亡したことになる。府の担当者は「回復の可能性が低い場合、どういう形で死を迎え、看取るかは患者本人や家族の選択を尊重している」と説明する。
医療体制が今以上に逼迫すれば、さらに医師側に「命の選別」ともいえる厳しい判断が求められる。例えば60代、40代の2人が同時に人工呼吸器が必要になった場合、60代が進行がん、40代が糖尿病ならば、40代が優先される可能性が高くなるという。
「重症者の中でも人工呼吸器を着ける人は若くて、闘病できる人を選ぶときが来る。ICUのベッド数が枯渇し、医療スタッフの数が追いつかなければ、ある程度恣意(しい)的に医師が誘導していかざるを得なくなるかもしれない。それは医療従事者側にもとてもつらい時間だ」。岡氏は苦渋の表情を浮かべた。



