女子中高生の制服がズボンに 変遷に世相反映

女子中高生の制服がズボンに 変遷に世相反映
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 かつて男子は学ラン、女子はセーラー服が主流だった中高生の制服で近年、男女を問わずズボンかスカートかを自由に選べるなど新しいスタイルが広がっている。性別にとらわれないジェンダーレスの観点だけでなく、自転車通学や防寒などのための実利面を重視し、男女ともズボンを標準とする学校も。明治時代以降、デザインや着こなしでさまざまな世相を映してきた制服は、常に変化を続けている。(藤井沙織)

 兵庫県の姫路市立山陽中学校は、来年度から男女ともズボンを標準にした。長谷川貴久校長が「掃除や体育館の床に座るときなどを考えれば、活動しやすいのはズボン」と判断。昭和22年の開校から続いた学ランとセーラー服をブレザー制服に変えた。スカートをはきたい女子生徒もいることから、申請すればスカート着用も可能とした。

 制服メーカー「トンボ」(岡山市)が昨年度に納品した中高生の制服のうち、女子生徒にズボンを導入した学校は450校で、平成26年度と比べ約76%増。全国的に近年、ズボンかスカートを選べるジェンダーレスな制服に変更する学校が増加しているという。

 背景にあるのは、心と体の性が一致しないトランスジェンダーの生徒への配慮だ。また姫路市立山陽中のように、自転車通学など学校生活上での利便性や防寒対策を主な理由に女子のズボンを導入する学校もある。

近代化の象徴

 学校の制服が誕生したのは、近代化が急がれた明治時代初期で、大学から広まっていった。明治創業の学生服専門店「村田堂」(京都市)の取締役、長屋博久さん(50)は「近代化の象徴、動きやすさなどから洋装の制服が推奨された」と話す。

 当時の洋装といえば詰め襟の軍服。黒地に金ボタンの学ランは明治19(1886)年に東京帝国大学(現・東京大)が採用したのが始まりで、その後、広く普及したという。一方、女子の制服が定着したのは、女子教育への機運が高まった大正時代以降。全国初のセーラー襟の制服は大正9年、平安女学院(京都市)のワンピース型で、翌年には福岡女学院(福岡市)が上下が分かれたセパレート型をつくり人気を得た。

 制服の主流となった学ランとセーラー服だが、戦後は管理教育の象徴とみなされることも。社会に自らの主張を示す学生運動が全盛期を迎えた後、昭和50年代に登場したのが、男子の「ツッパリ」、女子の「スケ番」スタイルだった。

変形制服に着崩し

 「大学の応援団を描いた漫画の影響」(長屋さん)で、男子は丈が極端に長い「長ラン」や逆に短い「短ラン」、女子は短い上着に長いスカートが一部で流行し、変形学生服と呼ばれた。時を同じくして校内暴力が社会問題となり、これらの制服は不良の象徴でもあった。高度経済成長を経た時代でもあり、長屋さんは「子供たちの『モーレツ社会』への反発の表れだったのでは」と話す。

 対応策として学校がとった戦略の一つが、ブレザー制服への切り替えだ。トンボは昭和59年、今では一般的なチェック柄のズボンやスカートの制服を企画し、画期的なスタイルとして注目を集めたという。

 しかしブレザー制服も着崩された。平成10年頃から男子はズボンを腰まで下げ、女子はウエストで短く巻き上げたスカートにルーズソックス。シャツの裾を出し胸元を緩めるなどルーズな着方がファッションとして浸透した。

自己表現に終止符

 制服をめぐって続く生徒との攻防に、メーカーが打った新たな手が着崩しにくい制服だ。トンボはスカートを巻き上げるとプリーツが崩れるようデザインを工夫。ネクタイやリボンは既に結んであるものを胸元に留めるタイプにするなど知恵を絞る。

 近年では極端な着崩しをする学生は減っており、長屋さんは「SNSなど自己表現のツールが増え、制服のアレンジにこだわる必要性が薄れた」と話す。

 今後、制服はどこへ向かうのか。最近増えているジェンダーレス制服は、男女とも同じブレザーで、スカートかズボンかだけを選べるタイプが多い。トンボの担当者は「シャツやジャケット、リボンやネクタイなどのアイテムを、性差なく自由に選択できるような制服も企画したい」としている。

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