さらに、大阪府貝塚市の本田正徳さん=同(71)=を殺害したとされる事件の被告人質問(8月7日)では、検察側などの質問に殺害を認めたが、弁護側の質問には「殺したとは思っていない。本田さんを殺したイメージが湧いてこない」と変遷した。
殺害動機は「前に付き合っていた女性と比べてお金の差別があった」と、勇夫さん事件とまったく同じ内容だった。
公判停止規定
認知症専門医で「認知症の人と家族の会」(京都市)の杉山孝博副代表(70)は「重い認知症では話したことや、やったことをきれいに忘れてしまう。一方、軽度ならアドバイスやヒントをもらえたら記憶を思い出すことができる」という。
筧被告の場合はどちらなのか。筧被告の精神鑑定を行った医師は法廷で、筧被告を軽度の認知症で記憶障害があるとしたが、「急速に進行するようなものではない」と証言。検察側は犯行当時の責任能力や訴訟能力に問題はないとの立場を維持している。
刑事訴訟法では、被告が心神喪失状態の場合、検察官や弁護人の意見を聴いた上で公判を停止しなければならないと規定。最高裁第1小法廷は昨年、殺人罪などに問われ、公判が停止された男をめぐり、「被告の訴訟能力が回復する見込みがない場合、裁判所は裁判を打ち切ることができる」との初判断を示し、公訴棄却を言い渡していた。
弁護側は筧被告について、認知症の影響で「誘導尋問すれば、話す内容をコントロールできる」などとし、審理の打ち切りを訴えている。



