【モスクワ=黒川信雄】ロシアを訪問中の岸田文雄外相は21日夕(日本時間同日夜)、モスクワでロシアのラブロフ外相と会談し、平和条約締結交渉を再開することで合意した。安倍晋三首相が意欲を見せるプーチン大統領の年内来日に向けた調整を進めることでも一致した。ただ領土問題をめぐりロシア側は強硬な姿勢に終始し、歩み寄りはみられなかった。
両国は平和条約締結問題を話し合う外務次官級協議を10月8日にモスクワで開催し、具体的な協議を進める。平和条約を主題にした次官級協議開催は、ウクライナ危機を背景に昨年1月以降、中断されていた。
プーチン氏の来日をめぐりラブロフ氏は「安倍首相からの招待を受け入れている。時期はホスト国の日本が決めることが前提だ。会談を充実した中身にすることが重要だ」と指摘した。両外相は国際会議の場を利用した首脳、外相会談の実施でも合意した。
ただ北方領土問題をめぐっては岸田氏が「突っ込んだ議論を行った」と述べたのに対し、ラブロフ氏は「北方領土という話はなされていない。議題となったのは平和条約締結問題だ」と領土問題の存在を否定するかのような発言を行ったうえ、「この問題は日本が第二次大戦後の歴史的事実を受け入れないと前進できない」とも語り、日本側を強く牽制(けんせい)した。ラブロフ氏は日本の対露制裁を念頭に、「両国間の雰囲気は友好的とは言いがたい」とも述べた。



