出雲学談義(3)

「出雲神話」は政治性の強いフィクションだった?

【出雲学談義(3)】「出雲神話」は政治性の強いフィクションだった?
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 (出雲における華やかな神話と平凡な考古知見)

 この難問に明快な解答を与えたのは、早稲田大学教授で歴史学者の津田左右吉であった。彼は大正デモクラシーのリベラルな風潮のなかで「神代史の研究」(大正2年刊)や「古事記及び日本書紀の新研究」(大正8年刊)などを著し、記紀や出雲国風土記の神話は、大和朝廷が自己の権力を正当化し、強化するために作成した極めて政治性の強いフィクション、彼の表現を借りれば、「机上の製作」であり、なんら史実を反映するものではないと主張した。この見解によれば、たとえ出雲神話が日本の代表的神話であったとしても、それが古代出雲の繁栄を証明するものでは決してない。つまり、「華やかな神話と平凡な考古知見」といった矛盾は、たちどころに解消するのである。古代出雲は考古知見が示すとおり、平凡な古代にすぎなかったことになる。津田説は出雲人にとって、まことに困惑すべき学説であったが、戦後の歴史学界では大いにもてはやされたのである。

 ところで、不思議なことに、津田はなぜ記紀神話の多くが出雲を舞台にして語られているのか、という点には論及しなかった。

 この問題を明らかにしようとしたのは梅原猛氏である。彼は「神々の流竄(るざん)」(昭和45年『すばる』に発表)という論文で、熱っぽく語っている。

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