英国の選択

「英連合王国は崩壊する」恐怖あおる扇情的論戦が招いた悲劇 民主主義揺るがした凶弾

 ロンドンのシンボル、ビッグベンの時計塔。隣接するウェストミンスター宮殿(国会議事堂)に17日、ユニオンジャック(英国旗)の半旗が掲げられた。

 EU離脱の是非を問う国民投票を間近に控えた16日、中部バーストールで凶弾に倒れた残留派のジョー・コックス下院議員に英議会が弔意を示すためだ。議事堂前やバーストールの聖ピーター教会では、夜を徹した追悼集会が行われ、大勢の市民がろうそくの明かりを前に黙祷(もくとう)、涙を流し、悲しみをあらわにした。

 英BBC放送は17日朝からコックス議員の哀悼番組を流し、英王室は、エリザベス女王がコックス議員の夫にお悔やみ状を送ると発表した。

 英国は、討論を戦わせる民主主義を尊重してきた。それが凶弾に抹殺されかねない危機に、英国は衝撃を受けている。凶行の背景にはEU離脱派と残留派双方の扇情的で過熱した運動がある。

 「EUはヒトラーと同じだ」「移民を制限し、主権を取り戻せ」…。ジョンソン前ロンドン市長ら離脱派はそう主張し、現状に強い不満を抱く中産階級のナショナリズムに火を付けた。大英帝国時代に戻ろうという内向きの大衆はそれを熱狂的に支持した。

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