その他の写真を見る (1/2枚)
京都御所紫宸殿(ししんでん)、清水寺本堂、出雲大社本殿、金峯山寺蔵王堂(きんぷせんじざおうどう)…とあげて共通する屋根は何でしょう? それはヒノキの樹皮で葺(ふ)く檜皮(ひわだ)葺き。その優美さは日本人の美意識にあい古来、社殿や仏堂に採用されてきた。奈良・春日大社本殿の屋根ももちろん檜皮葺きで、今まさに20年に1度の大修理「式年造替(しきねんぞうたい)」で新しい檜皮が葺かれている最中。来年11月に神が戻る4棟の御殿に、清らかでたおやかな曲線美が蘇る。
(岩口利一)
水で湿らせてしなやかにした檜皮を葺き師と呼ばれる職人が屋根に葺き重ねていく。金づちで竹くぎを打つ音が心地いい。軒先は24~30センチほどに葺き、さすがに立派に見える。
御蓋山(みかさやま)中腹に、平安時代末の形式を伝える第一殿から四殿までの4棟が東西1列に並ぶ国宝・本殿。西へ下る地盤を整地せずに各棟の土台は階段状に築かれているので、屋根にも高低差がついているのがおもしろい。そんな各屋根は反り返って複雑な曲面となっていて、軽やかだ。
修理では古い檜皮を下ろし屋根はいったん裸に。10月下旬、新たな檜皮を葺く作業が始まった。地味だが、進め具合によって仕上がりが大きく変わる作業で、「上の方のおさまりがいいよう先を読みながら葺いていきます」と谷上社寺工業(和歌山県橋本市)の葺き師、須賀将志さん(37)。丹念な手作業によって年末にも清々しい屋根がそろいそうだ。




