選挙戦を通じ労働党のコービン党首は光り輝くことはなかったが、与党保守党を率いるメイ首相より悪くはなかった。選挙公約(マニフェスト)で緊縮策の保守党が高齢者在宅介護の自己負担増を盛り込み不評だったのに対して、富裕層への課税強化や大学授業料の無償化など医療や教育の充実を唱えた労働党の政策は緊縮策に疲弊した若者ら国民に支持された。
当初、コービン氏を「狂信的な左翼」で首相には不適任と誰もが考えていたが、国民が最終的に「首相に考えてもよい」と思うようになった。
選挙戦終盤にテロ事件が相次ぎ、欧州連合(EU)からの離脱よりテロ対策が争点に急浮上し、労働党が巧みに攻勢をかけた。治安対策を担当する内相を6年間務めたメイ首相への個人批判が奏功、度重なる方針転換も重なってメイ氏が離脱交渉に向けて打ち出した「強く安定したリーダー」像が崩壊した。保守党の選挙戦略のミスだ。
テロ事件直後、1万人の警察官増員など迅速に治安対策を発表したコービン氏に国民の支持が広がった。
労働党は党内が分裂状態でEU離脱方針が定まっていない。過半数割れした保守党は北アイルランドの地域政党の協力を得て政権を維持するだろう。しかし求心力が低下したメイ氏はこれまで以上に党内の強硬派を頼ることになり、基盤が脆弱な政権による離脱交渉には曲折が懸念される。(談)




