「今年は例年になく参加された方が多い。私が県知事選に出馬表明したせいかもしれません」。よく晴れた元日、浦安市内のホテルで開かれた新年賀詞交歓会。和服姿で壇上に立った同市長の松崎秀樹はこうあいさつし、会場を埋めた市民をどっと湧かせた。
松崎が知事選に無所属で出馬する意向を正式に表明したのは昨年12月22日。このときの記者会見で出馬の理由を問われた松崎は「千葉県がふびんに思えてきた。このまま、(森田県政を)黙認すれば、後悔する。『出馬すべきだ』と最終決断した」と説明した。
意向表明から約3週間後の1月9日。松崎は東京ディズニーランド(同市)で開かれた成人式で、若者たちにこう語りかけた。
「私の高校時代の恩師の言葉だ。『後悔には2種類ある。人生の岐路に立たされたとき、しなかったことへの後悔より、したことに対する後悔を選べ』。人間、ときとして谷底を見ないで跳ぶ勇気を」
まっすぐ前を見据えたその表情は、知事選に挑戦する自身の心境を重ね合わせているかのように見えた。
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松崎は数年前から会合などで森田県政への批判を非公式に繰り返してきたが、公然と批判したのは昨年10月だった。「知事選への出馬検討」が一部で報じられた松崎は浦安市庁舎で報道陣の取材に応じ、報道が事実であることを認めるとともに、知事の森田健作についてこう語った。
「『何やってきたの』というのが率直な思いだ。歴代の知事は県内をよく回ってくれた。こんなに市町村に寄り添わない知事は初めてだ」
松崎は、政策面においても2020年東京五輪・パラリンピックの競技誘致や県内農作物の東南アジアへのトップセールスなどは評価するものの、「広域課題や県がリーダーシップを取るべき課題に取り組んでいない」と森田県政の問題点を指摘。「県政本来の福祉・医療・教育など県民の切実な関心事に対して知事としての使命を果たしていない」と批判を展開した。
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現職知事の森田は元俳優。知名度抜群だ。浦安市政を注視してきた男性は「現職知事は選挙に強い。松崎市長は勝てないのではないか。自分を取り巻く状況がよく見えていないのではないか」と首をかしげる。
だが、松崎は「知事選はファン投票ではない。知名度だけで勝負できるのか」と主張する。県内各地に出向いて各種団体や県民に直接、政策を語りかけ、支持拡大を図っている。
松崎は森田県政への不満について「市長会でもだいたい共有されている」と語っていたが、事実、香取市長の宇井成一も「森田県政に不満を感じている」などと話し、松崎支援の姿勢を鮮明にした。
松崎の陣営関係者も森田への挑戦が険しい道のりになることは認める。だが、当初の下馬評を覆して昨年の米大統領選で勝利し、今週大統領に就任するドナルド・トランプの躍進を念頭にこう期待を込める。
「首長たちも表立っては(松崎支援を)表明できなくても、こうした動きが広がれば、千葉でも『トランプ現象』が起きるのではないか」
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知事選はいまだ構図は固まっていないものの、すでに立候補を表明している現職の森田と新人で浦安市長の松崎の2人を軸にした激しい選挙戦が予想される。3月9日の告示に向け、候補者陣営や政党、各種団体の駆け引きや思惑など底流にあるものを探る。(敬称略)



