中性の濃縮液体洗剤を水溶性フィルムで包んだ洗濯用パック型液体洗剤「ジェルボール」の誤飲事故が相次いでいる。昨年4月に発売されて以来、洗浄力や手軽さが支持されて人気商品となった一方で、子供の口や目に入ったなどの事故が後を絶たない。消費者庁には今年1月末までに延べ152件の事故情報が寄せられており、米国では死亡事故に至ったケースも報告されている。同庁は「子供の手の届くところには置かないで」と注意を呼び掛けている。
被害の7割超が3歳以下の乳幼児
洗濯用パック型液体洗剤は、日用品大手「P&Gジャパン」(神戸市東灘区)が、粉末、液体に次ぐ第3の洗剤として、昨年4月に発売した。
事故事例で目立つのは、乳幼児の被害だ。152件のうち、7割超の110件が3歳以下の乳幼児となっている。3歳女児がパック型液体洗剤を握ったところ破裂し、目に入って目の表面が洗剤で覆われたり、4歳男児が洗濯機横の60センチの高さに置いてあった洗剤をかじり、突然はいて泣き出したりしたなどの事例が報告されている。
経済協力開発機構(OECD)に寄せられた事故情報によると、日本を含め18カ国から事故情報が寄せられている。
フランスでは2005~13年までのパック型液体洗剤の事故は7500件以上で、うち6歳未満が94%を占めた。角膜炎症が83件、呼吸器合併症が21件報告されており、そのうち集中治療が必要だったケースも6件あった。
イギリスでは、09年5月~12年7月までに1486件の事故があり、子供4人が呼吸困難になった。
米国では2012~13年に6歳未満の子供によるパック型液体洗剤の事故が1万7千件以上あり、死亡事故も1件あったという。
豆腐がつぶれる程度の力で破れる
国際安全規格「ISO/IECガイド50 安全側面-子供の安全の指針」によると、3歳までの乳幼児は、身の回りにある物を口に入れて調べようとする行動特性がある。つかんだものを口に入れることは発達段階の一つで、反射の一つとも考えられている。
国民生活センターは、幼児がパック型液体洗剤を手に取り、かんだ場合や握った場合を想定して検証実験を実施した。
乳幼児が玩具を口にしてかみ切ったり、割れたりしないかを調べる「かむ試験器」にパック型液体洗剤を置き、唾液やよだれを想定して水約0・5グラムを垂らして力を加えてみると、豆腐がつぶれる程度の力でフィルムが破れ、液体洗剤が漏れ出たという。
成人の男女各5人が、ぬれた手で20~30秒間、パック型液体洗剤を持った後、握ってもらう実験では、全員が「簡単に割れた」「とても簡単に割れた」と回答したほか、フィルムが破れ、中身がはね出ることもあった。
また、「くっついた洗剤を剥がそうとしたところ、フィルムが破れ、中身が目に入った」という事故情報が寄せられたため、この検証実験も実施した。
ぬれた手で触れるなどして、パック型液体洗剤の1個がぬれた状態で洗剤のケースに戻されたと想定。一晩置いたところ、ぬれた洗剤が乾燥して、接触していた別の洗剤にくっついてしまうものがあった。剥がそうとしたところ、フィルムが破れ、中身が飛び出ることがあったという。
事故が起きた場合は受診を
消費者庁と国民生活センターは、洗濯用パック型液体洗剤のフィルムは水に溶けやすく、なめたり口に入れたりすると、唾液によりフィルムが溶け、誤って洗剤を飲んでしまう恐れがあると指摘した。誤飲時は口をすすぎ、水または牛乳を少量飲ませて受診▽目に入った場合は目をこすらず、すぐ水で10分以上洗い流して受診▽皮膚についた場合はすぐ大量の流水で洗い、付着した衣類は脱ぐ-ことを呼び掛けている。
烏山眼科医院(東京都世田谷区)の福下公子医師は、洗眼の際は「洗剤で目の角膜が弱くなっている恐れがあるので、勢い(水圧)の強い水では洗わないで」とアドバイス。洗眼後は、必ず眼科医を受診し、目に入った商品の成分が分かるように、成分表示が記載されたパッケージなどを持参することを勧めている。




