トランプ次期米大統領が当選後初めて開いた記者会見で強く印象づけたのは、雇用確保に向けた強硬な姿勢だった。
「私は、神が創造した最高の雇用創出者になる」
過激発言で米国民の支持を集めたトランプ氏らしく、いかにも大仰な言いぶりである。
そのトランプ氏に限らず、米国では元来、雇用に重きを置いて政策を講じる傾向が強い。
1946年制定の雇用法には政府が最大限の雇用を目指すことが盛り込まれた。第二次大戦後に大量失業が懸念されたことが、政府の責任を明確化する動きにつながったのだという。
この流れは米連邦準備制度理事会(FRB)にも受け継がれた。FRBのデュアル・マンデート(2つの使命)といわれる金融政策の目的は「雇用の最大化」と「物価の安定」だ。法的な目的規定が物価安定だけである日銀との大きな違いだ。
だからといって、トランプ氏のやり口は容認できない。海外に工場を建てるなら高い税を課す。そんな恫喝(どうかつ)まがいの露骨な経営への介入は、個々の企業の自由な経済活動で繁栄を謳歌(おうか)してきた大国の次期指導者のものとは思えない。



