黒人暴行死から1年 米社会の断層浮き彫り 警察改革、政権試金石に
一方でバイデン政権には、この問題が民主党内の溝を深めることへの警戒がある。急進左派の支持基盤でもあるBLMなどは現行の改革法案を「手ぬるい」と批判しているだけに、法制化が仕切り直しとなれば、急進左派からの要求が強まる可能性もある。
バイデン氏は25日、ホワイトハウスにフロイドさんの遺族らを招待。身内の民主党をもにらみながら、法案成立に向けた機運を演出したい考えだ。
消えぬ警戒
フロイドさんを死亡させ免職となった元警官、デレク・ショービン被告(45)に対する裁判の評決が下された4月20日、ワシントンではドアや窓に板を打ち付けた建物が目についた。評決次第では抗議デモや暴動が起きるのではないかとの警戒からだ。
実際には、被告は第2級殺人罪など訴追された3件すべてで有罪となり、6月下旬には量刑が言い渡される見込みだ。被告側は「公正ではなかった」と裁判のやり直しを申し立てており、インターネット上には被告の無罪を訴えるサイトも少なくない。
米CBSテレビの世論調査によると、有罪を「正しい」としたのは民主党支持者の90%に対して、共和党支持者では54%にとどまる。ワシントンの女性警備員は「裁判の成り行きによってはまた板が必要になるかも」と話した。