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黒人暴行死から1年 米社会の断層浮き彫り 警察改革、政権試金石に

 米中西部ミネソタ州で昨年5月、黒人男性のジョージ・フロイドさん=当時(46)=が白人警官に首を圧迫され死亡した事件から25日で1年を迎えた。事件は、人種差別への抗議運動や大胆な警察改革を求める声が高まる契機となり、デモに乗じた略奪の多発など社会不安にもつながった。この1年は何を浮き彫りにしたのか。(ワシントン 大内清)

革命の突破

 各地の抗議デモを主導する「ブラック・ライブズ・マター(BLM=黒人の命は大事だ)」運動が発行する活動報告書は、昨年夏にウェブサイトへのアクセスが「5000%増加した」とうたっている。全米で大規模デモが続発し、差別主義者とみなされた歴史上の人物らの銅像の撤去などを求める運動が広がった時期だ。フロイドさんは、こうした運動の象徴に祭り上げられた。

 BLMの目標は黒人差別の撤廃にとどまらない。事件後の一連のデモでは「警察解体」が叫ばれた。首都ワシントンに拠点を置くBLM系組織は「白人至上主義や家父長制、資本主義、帝国主義の解体」を掲げる。

 保守系シンクタンク、ヘリテージ財団のマイク・ゴンザレス氏は昨年6月の論考で「急進的マルクス主義」の影響を指摘。黒人への差別問題を突破口に、米社会の基本的な価値観を破壊する試みではないかと、BLMの“革命志向”に懸念を表明している。

期限間に合わず

 「司法から体系的な差別を根絶する」。バイデン大統領は今年4月、初の施政方針演説で宣言し、フロイドさん事件から1年の節目までに警察改革法案を可決するよう議会に求めた。

 法案は、容疑者の首を腕で絞める「チョークホールド」を禁じることや、警官らの免責特権見直しを含む内容。バイデン氏は期限を切ることで議会に行動を迫った形だが、野党・共和党は上院で抵抗し、成立の見通しは立っていない。

 バイデン氏が法案成立を急ぐのは、この問題が昨年11月の大統領選での勝利の一因にもなったためだ。白人至上主義に同情的だと受け止められてきたトランプ前大統領が「法と秩序の維持」を訴えて抗議運動に批判的なスタンスをとったのに対し、バイデン氏は人種問題や警察改革への取り組みを約束することで非白人への訴求力を高めた。

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