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中国、ワクチン外交で中南米に浸透 危機感強める米国

中国のワクチン外交が中南米に浸透し、米国は危機感強めている(ロイター)
中国のワクチン外交が中南米に浸透し、米国は危機感強めている(ロイター)

 【ニューヨーク=平田雄介】中南米の強権化が進む国家で中国が新型コロナウイルスをめぐる「ワクチン外交」を強化している。中米エルサルバドルのブケレ大統領が、対外援助の条件に「民主的統治」を求める米国に反発して中国からのワクチン提供に期待を示すなど、対中傾斜を進める国も出てきた。米国の「裏庭」とされる中南米への中国の浸透に、バイデン米政権も警戒を強めている。

 米国際開発局のサマンサ・パワー局長は21日、ブケレ氏が今月初めに最高裁判事と検事総長を更迭したことを批判し、援助を引き揚げると発表した。パワー氏はオバマ元大統領の下で国連大使を務めた与党・民主党の人権強硬派。発表では「司法の独立と権力の分立は民主主義に不可欠な要素だ」と強調した。

 ブケレ氏は2019年に大統領に就任。支持率が9割を超えるなど国内での人気は高い。今月1日に国会の支持の下、新型コロナの感染予防に伴う経済規制の解除などをめぐって見解を異にすることの多かった最高裁の判事5人全員を、2日には汚職事件を捜査していた検事総長を解任。強権化の傾向を強めている。

 これに対し、ブリンケン米国務長官は2日の声明で「検事総長は米国との捜査協力で有能なパートナーだった」と述べ、最高裁判事の更迭と合わせてブケレ氏を批判。その後、米政府は改善を申し入れたものの、ブケレ氏に耳を傾ける気配はなく、「民主的統治」を求める米国に対し、中国は「無条件」で5億ドル(約544億円)を援助してくれたとして評価した。

 同氏の強気の背景には、中国の投資がある。エルサルバドル国会は18日、太平洋に面した首都サンサルバドルの沿岸インフラ設備で中国の開発援助を受け入れる協定を批准。米国は、カリブ海からパナマ運河を抜けて太平洋に至る海上交通路(シーレーン)付近で中国の進出を許した。

 エルサルバドルはサンチェスセレン前政権下の18年に台湾と断交し、中国と国交を樹立。中国との良好な関係により、人口約670万人に対して中国製265万回分の供与を受ける。ブケレ氏は18日、新たに50万回分が届くとして中国の習近平国家主席をたたえた。

 一方、台湾と外交関係を持つ隣国のホンジュラスやグアテマラ、南米パラグアイはワクチン不足に陥り、中国側から断交と引き換えにしたワクチン提供の働きかけがあるとされる。

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