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ガザ停戦仲介 中東の大国エジプトの際立つ貢献

 【カイロ=佐藤貴生】イスラエルとイスラム原理主義組織ハマスの停戦に貢献したエジプトは、バイデン米大統領もその努力を称賛するなど、中東の大国として久しぶりに存在感を示した。1979年にアラブ諸国で初めてイスラエルと平和条約を結んだ後もパレスチナ和平を求める立場を取り、ハマスなどパレスチナ側とパイプを維持してきたことが成果につながった。

 エジプトのシーシー大統領は21日未明、ツイッターへの投稿で、停戦は米国と協力してこぎつけたとしてバイデン氏に謝意を示した。

 シーシー政権は反体制派などを厳しく弾圧し、人権問題に敏感なバイデン政権との関係を懸念する向きもあったが、当面は良好な対米関係が築けると期待しているとみられる。

 ハマスが実効支配するパレスチナ自治区ガザは、エジプト北東部シナイ半島と境界を接する。半島ではイスラム教スンニ派過激組織「イスラム国」(IS)に忠誠を誓う傘下組織が活動しており、シーシー政権は軍事衝突が始まった翌日の11日には調停に着手したとの観測が出た。交戦が長期化すれば自国の治安にも影響しかねないとの危機感がうかがえる。

 ハマスを「テロ組織」に指定している欧米には交渉の窓口がないことも、エジプトの役割を際立たせる結果となった。

 ハマス設立の母体となったのは、シーシー政権が敵視するエジプトの原理主義組織ムスリム同胞団だ。このため、同政権が発足した2014年以降、エジプトとハマスの関係は疎遠になったとされる。半面、ハマスとイスラエルの間で戦闘が起きるたびに調停に入り、粘り強く関係を築いてきたことも事実だ。安定的な停戦の実現に向けてもシーシー政権の影響力が一つのカギになりそうだ。

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