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ドイツで「緑の党」旋風 女性首相候補で支持率トップに 現実路線に転換

 ドイツで9月の総選挙を前に、環境政党「緑の党」が旋風を起こしている。女性首相候補、アンナレーナ・ベーアボック党首(40)が環境や外交で新路線を掲げ、反核・反戦運動をルーツとする同党の脱皮を印象付けたためだ。支持率調査で同党は、メルケル大連立政権の保革中道与党を抑えて首位を走っている。(パリ 三井美奈)

 「強い欧州、強い欧米同盟こそ、未来の基盤です」

 ベーアボック氏は先週、米シンクタンクのオンライン会合で、滑らかな英語で訴えた。米識者がドイツ駐留米軍に触れ、「緑の党は米国を批判していたはず」と尋ねると、「もはや冷戦時代ではない。バイデン米政権は中国と環境で対話し、人権に厳しい。われわれと共通点が多いのです」と応じた。緑の党はかつて北大西洋条約機構(NATO)からの離脱を訴え、米軍基地前で抗議デモを展開したが、現在の党は違うのだとアピールした。

 ベーアボック氏は緑の党の共同党首の一人で、4月に首相候補に選ばれた。環境産業への投資によるドイツ経済再生を掲げ、外交でも現実路線にシフトしたことで党の支持率は急上昇した。6日公表の調査で26%。メルケル首相の中道右派陣営「キリスト教民主・社会同盟」(CDU・CSU)は23%で2位に甘んじる。

 緑の党の経済モデルには実績がある。南西部バーデン・ビュルテンベルク州で、10年前に就任した同党の州首相が電気自動車(EV)、デジタル産業への投資を進め、国内屈指のハイテク拠点に育てた。フライブルク大のウルリッヒ・エイト教授は「ドイツ経済の課題はいま、与野党を問わず環境重視の産業育成だ。緑の党はいま、中道右派陣営の支持者だった中産層やキリスト教保守派を幅広く吸収している」と指摘する。

 緑の党は現在、国内16州のうち、少なくとも10州で政権参加しており、党員は約10万人以上。総選挙で、保革与党に代わる選択肢として注目されている。

 中道右派陣営は今年1月まで、メルケル氏の手堅い新型コロナウイルス対策が評価され、35%を超える支持率を保った。その後、第3波が拡大し、ワクチン接種がもたついたことで風向きが変わった。首相候補のアルミン・ラシェットCDU党首(60)は目下、「メルケル路線の継承」以外の看板がなく、挽回の契機がつかめない。

 ベーアボック氏は2013年に連邦下院議員に初当選。2児の母で、地方紙記者から政界に転身した。閣僚経験は皆無で、現在の人気は期待が先行する。選挙公約で「脱石炭」エネルギー政策の加速、富裕層増税などを掲げており、新型コロナ後のドイツ経済再生の道筋をどこまで示せるかが、勝利に向けたカギとなる。

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