G7外相会合、民主主義陣営の結束強化 具体的行動が今後の焦点
【ロンドン=板東和正】先進7カ国(G7)は3~5日にロンドンで開いた外相会合で、権威主義を強める中国やロシアに対抗するため、民主主義陣営の結束を強化した。米国と欧州諸国の温度差も指摘される中で、共同声明は具体的な措置に乏しいとの見方もあり、今後はどこまで行動に踏み込めるかが焦点となりそうだ。
ラーブ英外相は外相会合が閉幕した5日、「世界中の人権と民主主義を促進するために、G7の範囲を広げた」と述べ、インドや韓国、オーストラリアなどの民主主義国家の外相らをゲストとして招待した意義を強調した。
中国の影響力拡大だけでなく、世界的に民主主義の後退が懸念される中、ラーブ氏は「人権や民主主義の価値観を守るためには、同じ思いを抱く国のグループを広げなければならない」と強調。「私たちは(外相会合で)それを達成した」と自信を見せた。
一方、G7外相は共同声明で中国やロシアへの危機感を共有したが、具体的な対処法については「ほとんどない」(AP通信)との見方も出ている。共同声明は実際、中国による新疆(しんきょう)ウイグル自治区での人権侵害に「深い懸念」を示したが、「(各国の)国内で利用可能な手段」で対応するとの表現にとどめた。
欧州ではドイツやイタリアが特に中国との経済関係を重視する。英紙ガーディアンは、G7外相が具体策にまで踏み込まなかった要因として、「ドイツやイタリアを中心とした一部の加盟国が(中国の)報復を受けるのではないかと懸念した」と伝えた。
ブリンケン米国務長官は外相会合に合わせて行われたマース独外相との会談で、独露間で天然ガスを運搬する海底パイプライン建設への強い反対を改めて独側に伝達した。
欧州メディアによると、米政府高官は外相会合中、中国をめぐる議論では実際の行動よりも、課題を共有する分野を見いだすことを重視したとした上で、中国をめぐる問題では「いかなる意味の不一致もない」と強調した。