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北、経済苦境で露外交官も脱出 「苦難の行軍」交易再開も遠い正常化

 【ソウル=桜井紀雄】新型コロナウイルスの世界的流行を受け、昨年から国境を閉ざし続けてきた北朝鮮が、中国との間で貨物船を往来させるなど、交易の本格的再開に向けた動きを見せている。背景には、首都平壌に駐在する各国外交官らが生活必需品さえ入手できず、次々と脱出するほどの経済的苦境がある。交易再開によってもなお、経済の正常化にはほど遠いのが実情だ。

 北朝鮮国営テレビは26日、北西部の平安北道(ピョンアンプクト)にある87校の「模範学校」で通常授業が再開されたと報じ、コロナ禍克服を国内外にアピールした。だが、現実には平壌ですら困窮が伝えられており、象徴的なのがロシア外交官の脱出劇だ。

 露外務省が2月に公開した映像などによると、在平壌露大使館の外交官や家族ら8人は、列車やバスで34時間かけて国境近くに着いた末、線路上のトロッコを人力で押して国境を越えた。国境封鎖で交通手段が途絶えていたからだ。

 露大使は、小麦粉や砂糖などの必需品も入手が難しく、「子供らは一年中、学校に通っていない」と報告していた。チェコの外交官や世界食糧計画(WFP)の職員ら38人も3月18日に陸路出国。北朝鮮に国連機関や国際非政府組織(NGO)の外国人スタッフは1人もいなくなったという。

 金正恩(キム・ジョンウン)朝鮮労働党総書記は1月に経済の自力再建に向けた5カ年計画を発表したが、思い通りに進まず、すぐに党の責任者を更迭。4月には「苦難の行軍を決心した」と表明した。苦難の行軍とは、大量の餓死者が出た1990年代後半のスローガンで、体制引き締めで苦境脱却を狙ったものだ。

 金氏は平壌の大規模住宅地建設を指揮し、住民の歓心を買おうと躍起だが、金氏肝煎りで昨年10月の完工を目指していた平壌総合病院さえ、いまだ完成が報じられていない。国境封鎖に加え、国際社会の制裁で資材や機器を輸入できない影響があるとみられている。

 制裁が解除され、経済を再建するには、完全な非核化に向けた米国との協議が必要であるにもかかわらず、金氏はバイデン米政権との接触も拒んでいる。

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