PR

ニュース 国際

クリミア「水危機」続く 露、併合の重い代償 海底の淡水探査に着手

3月18日、クリミア編入を祝うイベントに登場したロシアのプーチン大統領=モスクワ(タス=共同)
3月18日、クリミア編入を祝うイベントに登場したロシアのプーチン大統領=モスクワ(タス=共同)

 ロシアが2014年に併合したウクライナ南部クリミア半島で深刻な水不足が続いており、ロシアの地質調査会社が淡水を求めて近海海底の探査作業に着手した。クリミアはもともと淡水需要の85%をウクライナ本土に依存していたが、併合後に供給を絶たれたことが水不足の根本原因だ。ロシアが半島を一方的に併合し、人工的な「国境線」を引いた代償は重い。

 クリミア半島の中心都市シンフェロポリや保養地ヤルタでは昨年12月から厳しい給水制限が導入され、大半の地区で水供給が午前6~9時と午後6~9時の1日計6時間に限られている。蛇口から濁った水が出ることも多いといい、住民は不満を強めている。

 併合前のクリミア半島ではウクライナ本土から「北クリミア運河」を通じて淡水が供給されていた。しかし、併合によってロシアとウクライナの関係が決定的に悪化し、運河の使用は停止された。その後は半島内に23カ所ある貯水池で一般の水需要をまかなってきたが、昨年以降は降雨・降雪量が少なく、貯水量が危機的に減少している。

 この事態を受け、露政府は25年までに480億ルーブル(約676億円)を投じて水問題を解決する計画を策定。露企業はこのほど、アゾフ海海底の地中に淡水が埋蔵されている可能性があるとみて探査に乗り出した。同海底ではソ連時代、石油探査の際に淡水が出てきたことがあったという。

 クリミア当局はさらに、シンフェロポリ郊外とヤルタに海水を淡水化する装置を導入する意向だ。ただ、露独立新聞によると、逆浸透膜法という世界で標準となっている淡水化の技術がロシアにはない。海外からの設備輸入は、クリミア併合に伴う米欧の対露経済制裁に抵触することから難しいとみられている。

 プーチン露政権は、ウクライナ本土から人為的に分断されたクリミア半島の実効支配を強化しようと、露南部からクリミアへ橋を架けたり、海底送電ケーブルを敷設したりしてきた。ロシアは併合からの5年間だけでクリミアに1兆5千万ルーブル(約2兆1300億円)を投じたと推計されている。

 クリミア併合を受けて一時、プーチン大統領の支持率は9割近くに跳ね上がったが、近年は長引く経済低迷で反政権機運が高まっている。クリミアにばかり巨費が投じられることに不満を抱く国民も増えつつある。(モスクワ支局)

あなたへのおすすめ

PR

PR

PR

PR

ランキング

ブランドコンテンツ