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レアアース採掘争点 グリーンランド総選挙 中国企業関与に欧米警戒 

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 【ロンドン=板東和正】北極圏に位置する世界最大の島、デンマーク自治領グリーンランドで6日、総選挙が行われた。未開発鉱床としては世界最大とも指摘される同島のレアアース(希土類)採掘計画の是非が最大の争点。計画には世界のレアアースの約6割を生産する中国の企業も関わっており、米欧で警戒が強まっている。

 採掘計画では、中国のレアース加工会社「盛和資源控股」が株主であるオーストラリアの鉱物探査企業が事業主体となっている。自治議会(定数31)の選挙は、与党「進歩党」が採掘計画を支持する一方、最大野党「イヌイット友愛党」が計画に反対する構図。7日朝(日本時間7日午後)にも大勢が判明する見通し。

 グリーンランドはデンマークから広範な自治権を付与されている一方、主な産業は漁業や観光などで、自治政府予算の約半分をデンマーク政府の補助金に頼っているのが実情だ。

 進歩党はデンマークからの独立を目指しており、採掘計画の実現で経済的に自立したい考え。計画が軌道に乗れば、自治政府の予算を2億ドル(約220億円)以上増やせる可能性があるとし、ヤンセン党首は「採掘計画は(同島の)独立や経済にとって非常に重要」と訴える。

 一方、イヌイット友愛党は採掘地周辺の環境の悪化を懸念する。レアアースの採掘の副産物として出てくるウランやトリウムなどの放射性物質により、周辺の水質や農作物に悪影響が出る恐れがあるためだ。

 選挙の行方は欧米も注視している。グリーンランドは「世界最大のレアアースの未開発鉱床」(米地質調査所)ともいわれており、英紙テレグラフは「欧米の外交官が中国政府が島のレアアース鉱床を独占するのではないかと懸念している」と伝えた。

 レアアースはハイテク製品の生産に欠かせず、バイデン米政権が2月、中国との対抗のため、レアアースなどのサプライチェーン(供給網)強化に乗り出す方針を決めるなど、その確保は欧米の課題だ。トランプ前米大統領もグリーンランドを購入する意向を示すなど地下資源の重要性に関心を示したこともある。

 グリーンランドは気候変動で北極圏の氷が解けて北極海が新たな航路として注目される中、その地政学的な重要性も増している。近年は中国がインフラ整備などを通じてグリーンランドに浸透してきていた。

 エネルギー問題を研究する英シンクタンク「極地研究政策イニシアチブ(PRPI)」は3月、英米豪など英語圏5カ国の機密情報共有の枠組み「ファイブアイズ」が、レアアース確保のため、グリーンランドと関係を構築して共同対処する必要性を唱えている。

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 グリーンランド ロシアと北米の間に位置する世界最大の島。面積は216万6086平方キロメートルと日本の約6倍。人口は約5万7千人。その約9割は先住民系で独立志向が強く、住民投票を経て2009年に外交や安全保障を除く広範な自治権を獲得した。冷戦時代から軍事的な要衝で、いまも米空軍が最北の基地を置き、弾道ミサイルの早期警戒や人工衛星の追跡に活用している。

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