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ロシア「脱炭素」潮流に危機感…エネ輸出依存経済に打撃

ロシアのプーチン大統領=3月22日、モスクワ郊外の公邸(タス=共同)
ロシアのプーチン大統領=3月22日、モスクワ郊外の公邸(タス=共同)

 【モスクワ=小野田雄一】エネルギー輸出を主要な外貨獲得源とするロシアが、大口輸出先の欧州連合(EU)と中国が脱炭素化を加速させていることに危機感を強めている。EUが検討中の「国境炭素税」を導入した場合にロシアの損失は60億ユーロ(約7800億円)に達するとの試算があるほか、中国への長期的な輸出減少も確実なためだ。ロシアも対策に乗り出しているが、実効性には懐疑的な声も出ている。

 EUが2023年までの導入を目指す国境炭素税は、温室効果ガス排出対策が不十分な国からの輸入品に実質的な関税を課す仕組み。温室効果ガス排出削減を相手国や企業に促す効果があるほか、環境対策に多額の投資をしているEU域内の企業がそうでない国の企業に価格競争力で劣勢に立たされることを防ぐ狙いがある。

 露有力紙の独立新聞は2月、米格付け大手「S&P」が「EUが国境炭素税を導入した場合、ロシアの損失は年間30億~60億ユーロとなる可能性がある」との試算を出したと伝えた。

 ロシアは年間の政府歳入約20兆ルーブル(約29兆円)のうち、3~4割を石油・ガス・石炭などエネルギー産業からの税収に依存。EUの国境炭素税の導入で同産業の経営が悪化した場合、ロシアは国家運営に深刻な打撃を受ける恐れがある。

 ロシアは石油や石炭よりも温室効果ガス排出量が少ない天然ガスの輸出拡大を目指し、販路拡大を進めてきた。その一環がロシアと欧州を結ぶ新たな天然ガスパイプライン「ノルドストリーム2」の建設事業だ。しかし19年末、トランプ米前政権が同事業への制裁を発動。欧州企業が相次いで建設から撤退し、昨年に予定された建設完了は今年に持ち越された。

 バイデン米政権も同事業への反対を表明し、追加制裁の可能性を示唆。EU内ではロシアの人権侵害を理由に建設凍結論も強く、同事業の先行きは不透明だ。

 中国が温室効果ガス排出量を60年までに実質ゼロにすると宣言したこともロシアには不安材料だ。中国は風力や太陽光などの自然エネルギーの開発を急ピッチで進めている。独立新聞は3月、「(中国の脱炭素化は)ロシアにとって最大のエネルギー輸出相手国の喪失となる」と危惧した。

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