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米国でアジア系住民への差別・ヘイトが急増 中国が感染源の新型コロナ不安めぐり憎悪か

19日、米ニューヨーク市内で開かれたアジア系に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)に抗議するデモに参加する人たち(上塚真由撮影)
19日、米ニューヨーク市内で開かれたアジア系に対するヘイトクライム(憎悪犯罪)に抗議するデモに参加する人たち(上塚真由撮影)

 【ニューヨーク=上塚真由】米南部ジョージア州でアジア系女性ら8人が犠牲になった連続銃撃事件を受け、米各地でアジア系への差別や暴力行為に抗議するデモが拡大している。中国湖北省武漢が感染源とされる新型コロナウイルス感染症への怒りや不安から事態が深刻化した。人種対立の解消を掲げるバイデン政権は危機感を強めている。

 米メディアによると、各地のデモに先週末だけで数千人が参加し、「アジア系はウイルスではない。憎悪こそウイルスだ」などと声を上げた。ジョージア州の銃撃事件では容疑者の白人の男(21)が「性依存症」と供述。事件がヘイトクライム(憎悪犯罪)かどうかは捜査中だが、デモ参加者らは憎悪犯罪として立件するよう求めている。

 米国のアジア系社会に動揺が広がる中、バイデン大統領とハリス副大統領はそろって19日に同州アトランタを訪れ、アジア系住民らと異例の面会を行った。

 バイデン氏は「米国に憎悪の居場所はない。沈黙は共犯になるのと同じ」と差別撲滅の決意を示し、新型コロナをめぐる憎悪犯罪の対処法案の早期成立を議会に促した。法案は連邦と州政府による対応の強化、アジア系社会への情報提供などが盛り込まれている。

 カリフォルニア州立大サンバーナーディーノ校によると、米主要16都市で昨年起きたアジア系への憎悪犯罪は前年比2・5倍の122件。アジア系人権団体「ストップ・AAPI・ヘイト」に昨年3月19日から今年2月末までに寄せられた嫌がらせや暴力行為の報告は3795件で、被害者は中国系が42%を占めた。同団体では「報告は氷山の一角にすぎない」とする。

 アジア系住民の間で「差別や暴力を受けても適切に対処されない」と捜査当局への不満が高まる一方、憎悪犯罪の積極的な適用には微妙な問題が横たわる。

 ニューヨークなどでは加害者が黒人のケースも少なくなく、「強引な取り締まりを受けてきた黒人を再び標的にすることになる」との警戒感があるためだ。

 トランプ前大統領が新型コロナウイルスを「中国ウイルス」と呼んだことも差別を助長させたとの指摘がある。ただ、米国でのアジア人差別の歴史は長く、社会や経済が不安定化すると問題が顕在化してきた。

 19世紀後半には中国人労働者が増え、仕事を奪われるとの懸念から1882年に移民を制限する「中国人排斥法」が制定。また第二次大戦中には日系人約12万人が「敵性外国人」のレッテルをはられ、収容所で過酷な生活を強いられた。

 日系2世で自ら強制収容を経験した全米日系人博物館のノーマン・ミネタ理事長(元運輸長官)は、コロナ禍におけるアジア人への憎悪行動の急増について、米国で「約80年前に、私の家族や社会を傷つけたときと同じ力学がアジア系社会を再び脅かしている」と非難した。

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