NATO、共同声明で米欧の結束を再確認
【ロンドン=板東和正】北大西洋条約機構(NATO)は23日、共同声明を発表し、「欧州と北米間の揺るぎない絆」を再確認したと表明した。トランプ米前政権時代に揺らいだ米欧の結束を強調し、ロシアなどの脅威に対抗する姿勢を示した。
NATOは同日、ブリュッセルで外相理事会を2日間の日程で開き、ブリンケン米国務長官が就任後初めて出席。バイデン米政権発足後、初の対面での閣僚会合となった。
初日の協議を経て発表された共同声明では、ロシアを「欧州・大西洋地域の安全保障に対する脅威」と指摘。中国を念頭に、「自己主張の強い権威主義的な大国」などが「ルールに基づく国際秩序に挑戦している」とした。その上で「私たちはこの危機の中、防衛や作戦の有効性を確保し続ける」と連携して対処することを誓った。
声明は、加盟国の国防支出に関し、米欧間の公平な分担を進めることも明記した。
NATOのストルテンベルグ事務総長は23日、初日の協議後の記者会見で「私たちは同盟の新たな章を開いている」と述べ、米欧同盟の亀裂を生んだトランプ前政権時代からの転換を宣言した。ストルテンベルグ氏は、中国の台頭に対処するため、オーストラリアや日本などの非加盟国との連携を強化する考えも示した。
ブリンケン氏も同日、「米国は何よりもまずNATO同盟国とのパートナーシップを再構築し、同盟を活性化したい」と記者団に話した。欧州連合(EU)が25日にオンラインで開くEU首脳会議にはバイデン米大統領が参加する予定で、米欧関係の再建を示す場になることが期待されている。