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米FRB、長期緩和で板挟み 景気支援か過熱封じ込めか 難しい市場との対話

 米連邦準備制度理事会(FRB)の外観=ワシントン(共同) 
 米連邦準備制度理事会(FRB)の外観=ワシントン(共同) 

 【ワシントン=塩原永久】米連邦準備制度理事会(FRB)が強力な金融緩和策を長期継続する姿勢を変えなかったのは、引き締めを早めると示唆すれば、緩和効果が削がれる恐れがあるためだ。だが、投資家が警戒するように景気回復に伴う経済の過熱やインフレ急伸が起きれば、後々に急激な利上げを迫られ、市場の混乱を招きかねない。FRBの「市場との対話」は難しさを増している。

 FRBのパウエル議長は17日の記者会見で、雇用や物価で「顕著な進展がみられるまで」引き締めに転じないとくぎを刺した。

 米政府の約1兆9千億ドル(約200兆円)の財政出動で景気が急回復するとの見方を反映し、この日、米長期金利は1・7%台を伺う水準に一時上昇。FRBが17日に示した経済見通しも、2022年末に失業率が4%を割り込む水準に改善すると予想し、物価上昇率が21年末に目標の2%を0・4ポイント上回ると見込む。

 こうした予想の背景にある経済活動の強さを踏まえ、投資家の一部は今回のFOMC前、FRBが昨年12月に示した23年末まで利上げを見送るとの見通しを修正し、利上げ開始の想定時期を前倒しするとみていた。だが、パウエル氏は17日、FRBは「先回りして(利上げに)動かない」と市場の観測を一蹴し、金融緩和を長期継続する考えを強調した。

 ただし新型コロナウイルス感染拡大を踏まえた政府やFRBの危機対応も経済が復活すればいずれは修正を迫られる。景気支援策は未曽有の規模だっただけに、危機対応からの出口戦略も「前例のないものになる」(エコノミスト)と指摘されている。

 2008年の金融危機後の緩和局面では、13年5月にFRB首脳が量的緩和策の縮小を唐突に示唆し、世界市場を混乱させた。国際金融協会(IIF)は今月17日のリポートで、13年当時と同様、新興国市場からの資金流出が今年3月以降に起きていると分析し、警戒を呼び掛けた。こうした懸念に対してパウエル氏は金融引き締めに転じる際は「十分に前もってシグナルを出す」と説明。当面は6月にFRBが示す次回の金利見通しが焦点だ。

 バイデン米大統領が重視する労働者支援と足並みを合わせて景気を下支えしつつ、景気過熱も見据えて利上げに備えるというFRBが担う板挟みの役割は決して容易ではない。ニューヨーク連銀のダドリー前総裁は米ブルームバーグテレビで、「FRBの引き締めが遅すぎれば、ある時点で(引き締めを急いで)追い付く必要が出てくる」と語り、利上げに向けた米中央銀行のかじ取りの難しさを指摘した。

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