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韓国検事総長が辞意 文政権と対立、捜査権剥奪法案に反発

 ソウル市内で開かれた「三・一独立運動」の記念式典で演説する韓国の文在寅大統領=1日(共同)
 ソウル市内で開かれた「三・一独立運動」の記念式典で演説する韓国の文在寅大統領=1日(共同)

 【ソウル=桜井紀雄】韓国の検察トップ、尹錫悦(ユン・ソンヨル)検事総長が4日、辞意を表明し、文在寅(ムン・ジェイン)大統領が辞任を了承した。尹氏は、与党「共に民主党」が検察から捜査権を奪う法案を準備していることに職を賭して反対した形だ。公約として「検察改革」を進めてきた文政権と、政権絡みの不正疑惑を捜査する検察との対立が、検察トップの辞任という事態に発展した。

 「きょう総長を辞職しようと思う。検察での私の役割はここまでだ」。尹氏はソウルの最高検前で記者団に、任期を4カ月余り残しての辞意を明らかにした。

 「この国を支えてきた憲法精神と法治システムが破壊されている。害は国民が被る」と指摘。「社会が積み上げてきた正義と常識が崩れるのをこれ以上見ていられない」と吐露した。

 辞任の引き金は、与党による検察の捜査権剥奪に向けた動きだ。与党議員らは、新設する「重大犯罪捜査庁」に検察の捜査権限を移し、検察の役割を起訴に限定することを目指した法案作りを急いでいる。

 尹氏は韓国紙のインタビューなどで「捜査の目的は起訴と有罪判決、処罰だ」と捜査と起訴の融合の必要性を強調。検察から捜査権を完全に奪えば、腐敗の横行を招くと警告してきた。

 文氏の盟友、盧武鉉(ノ・ムヒョン)元大統領が検察の取り調べを受けて自殺したこともあり、文政権は政局をも左右する検察の絶大な力をそごうと検察改革を進めてきた。これまでに汚職や経済事件など一部を除く検察の捜査権を警察に移したり、政治家や高官の不正を捜査する別機関を創設したりした。

 一方、文氏から「大統領府でも与党でも生きた権力に厳しく臨んでほしい」と総長職を託された尹氏は、検察改革の旗手だったチョ・グク元法相を起訴したのをはじめ、高官や与党議員が絡んだ不正疑惑に次々メスを入れていった。秋美愛(チュ・ミエ)前法相が尹氏の懲戒を請求するなど、政権側は尹氏排除に動いたが裁判所に認められず、検察は政権絡みの捜査の手を緩めないため、与党側が「捜査権の完全剥奪」で検察を骨抜きにしようとしているとの見方もある。

 政権との対決も辞さない尹氏に対しては、次期大統領選への出馬を期待する保守層の声も根強い。尹氏は「私が今後、どんな位置にいようと自由民主主義と国民を守るために力を尽くす」とも述べたことから、政界進出に含みを持たせているとの観測も出ている。

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