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中印、カシミール地方の対峙解消 中国「日米豪印」を警戒か

 【シンガポール=森浩、北京=三塚聖平】インド北部カシミール地方の係争地で、昨年5月から対峙(たいじ)していた中国軍とインド軍の撤退が21日までに完了した。これまで撤退協議は複数回決裂していたが急遽(きゅうきょ)進展。中国には、インドが日本、米国、オーストラリアとの連携強化に乗り出したことへの警戒感があったようだ。ただ、全面的な“雪解け”につながるかは未知数で、緊張は継続する可能性がある。

 中国国防省は10日、中印が合意に基づき、カシミール地方ラダックにあり、中印の事実上の国境である実効支配線(LAC)が通るパンゴン湖岸から同時に撤退すると発表。翌日、インドも同様の発表を行った。インド外交筋によると、17日に両軍の撤退が完了したという。

 対峙は昨年5月から始まり、6月にはパンゴン湖より北のガルワン渓谷で両軍が衝突。インド軍20人が死亡。今月19日には中国軍も4人が死亡していたことが分かった。中印関係は急速に冷え込み、インドのジャイシャンカル外相は「過去30~40年で最も困難な局面」と指摘していた。

 全方位外交を志向するインドは、日米豪との連携が対中包囲網としての性質を帯びることに慎重だったが、姿勢を転換。昨年11月には2007年以来となる4カ国の海上合同軍事演習が実現した。クワッドと呼ばれる4カ国の結びつきは強まり、今月18日にはオンラインで外相会合が行われた。

 こうした中、中国にはインドと緊張緩和を図り、日米豪印の連携にくさびを打ちたいとの思惑がうかがえる。中国外務省の華春瑩報道官は19日の会見で、昨年の衝突の責任はインドにあると主張しつつ、「対話を通じて適切に争いを解決する」姿勢を強調した。

 ただ、パンゴン湖付近以外にも中国はLAC付近でインフラ整備や軍の配備を進めている。中印関係に詳しいインドのジンダル・グローバル大のスリパルナ・パサク准教授は「パンゴン湖は標高4000メートル以上の地点で冬は軍の維持が難しいことも撤退協議を後押しした。パンゴン湖以外のLAC付近の中国軍がどう展開するかは未定だ。インドは警戒を怠るべきではない」と分析している。

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