イラン外務次官、非公式会合出席を検討
【カイロ=佐藤貴生】国際原子力機関(IAEA)のグロッシ事務局長が20日、イランの首都テヘランに到着した。イランがIAEAの抜き打ち査察の受け入れを23日に停止すると表明したことを受け、イラン原子力庁のサレヒ長官らとの協議で翻意を迫る考えだ。
一方、イランのアラグチ外務次官は20日、国営テレビとのインタビューで、欧州連合(EU)が提案した米国を含む核合意の全当事国による非公式会合について、出席の可否を「検討している」と述べた。ロイター通信が伝えた。
EUは19日に非公式会合を提案した。米・イラン間の調停を行う方針とみられ、両国が多国間会合で対話する可能性が出てきた。バイデン米政権は18日、イランと対話する用意があると表明している。
アラグチ氏は非公式会合への対応について、「(核合意の当事国である)ロシアや中国などと協議して回答する」と述べた。イランは米国に、トランプ前政権が核合意を離脱して科した制裁の解除を求めているのに対し、米国はイラン側に核開発活動を合意の規定内に戻すよう求め、互いに相手が先に行動すべきだと主張して停滞している。
抜き打ち査察の受け入れ停止について、アラグチ氏は(停止の)方針に変更はないとした。
抜き打ち査察が停止されれば核活動の完全な監視が困難になりかねない。